<近日開催予定のイベント>
8月20日(日):第五回、鍼灸学生の為の勉強会〜【医古文・漢文の読み方No.2】〜
この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。
7/19(水)
太陽病中篇より
(109条)
傷寒発熱、嗇嗇悪寒、大渇欲飲水、其腹必満、自汗出、小便利、其病欲解、此肝乗肺也、名曰横、刺期門。
(前回の記事:【水曜勉強会】傷寒論 その63)
前回の内容を踏まえ、条文の内容を考える。
太陽病にかかり、悪寒して喉が乾いて腹満する場合は
肺気がめぐっていないためであり、
汗や小便も出なくなっているという解説があり、
条文の通り、自汗し、小便が出る場合には
病が癒えてきているということだろう。
肝が肺に乗じて肺気を阻害することを、ここでは「横」としている。
平脈法の45条において、
五行における相剋の関係を「縦」、相侮の関係を「横」とする記述がある。
本条では、肝(木)が肺(金)を乗じた場合が述べられており、
平脈法45条の通り、相侮の関係である。
すなわち「横」である。
「期門」を刺すことで肝気を瀉し、肺気を正常にするということである。
「期門」とは、現代では、肝の募穴として
その位置を第6肋間・乳頭線上にとるが、
傷寒論の成立が3世紀初めと言われており、
その時代に募穴の認識があったのかが疑問である。
ちなみに古文書における募穴の認識は
素問においては胃と胆のみであり、
3世紀後半に成立した脈経に記載がある。
傷寒論のあとに成立した脈経に、募穴、
すなわち期門の記載があることはおかしく、
期門を肝の募穴とする解釈に疑義を持たざるを得ないと感じる。
しかし、傷寒論の内容は
後世にその内容が書き加えられていっているということも
考慮しなければならない。
(110条)
太陽病、二日、反躁、反熨其背、而大汗出、大熱入胃、胃中水竭、躁煩、必発譫語、
十余日、振慄、自下利者、此為欲解也。
故其汗、従腰以下不得汗、欲小便不得、反嘔、欲失溲、足下悪風、大便鞕、小便当数、而反不数、及不多。
大便已、頭卓然而痛、其人足心必熱、穀気下流故也。
条文の内容を絵にまとめた。
次回、続きを行う。
(続く)
参加者:下野、新川、大原、盧