<近日開催予定のイベント>
8月20日(日):第五回、鍼灸学生の為の勉強会〜【医古文・漢文の読み方No.2】〜
こんにちは、大原です。
今回は負曳之針です!
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鍼道秘訣集を読む その1 → 鍼道秘訣集序
鍼道秘訣集を読む その2 → 一.當流他流之異
鍼道秘訣集を読む その3 → 二.當流臓腑之辯
鍼道秘訣集を読む その4
鍼道秘訣集を読む その5
鍼道秘訣集を読む その6 → 三.心持之大事
鍼道秘訣集を読む その7 → 四.三清浄
鍼道秘訣集を読む その8
鍼道秘訣集を読む その9
鍼道秘訣集を読む その10
鍼道秘訣集を読む その11
鍼道秘訣集を読む その12
鍼道秘訣集を読む その13 → 五.四脉之大事
鍼道秘訣集を読む その14
鍼道秘訣集を読む その15 → 六.火曳之針
鍼道秘訣集を読む その16 → 七.勝纍之針
八.負曳之針
是モ處不定病床ニ依テ邪氣ノ隠居日、針ニテ其
邪気ヲヲビキ出シテ治療スル事アリ加様ノ針
ヲ用ル病人ハ何トモ病証難レ知功ヲ積タル狐ノ
付タル病人ハ狐付トモ氣違トモ知難キ物也其
時ニモ用ル兎角邪氣ヲ曳出シテ様子ヲ觀療
治セント欲日用ル針ノ方便ナリ諸病ノ難
レ知時ノ問針可二心得
これも所定まらず病床によって邪氣の隠れ居るとき、
針にてその邪気をおびき出して治療すること有り。
加様の針を用いる病人は、何とも病証知れ難し。
功を積みたる狐の付けたる病人は、
狐付とも氣違いとも知れ難き物なり。
其の時にも用いる。
兎角(とかく)、邪氣を曳き出して様子を觀、
療治せんと欲(おもう)とき用いる針の方便(てたて)なり。
諸病の知れ難き時の問(とい)針と心得べし。
語句の意味などを補足しながら訳してみましょう。
この負曳之針は
勝曳之針(前回の記事:鍼道秘訣集を読む その16)
と同じように、邪気の有り処が定まらない場合に用いる。
邪気が隠れているときに
針でその邪気をおびき出して治療することも有るが、
このような針を用いて治療を行う病は
病証というものを知ることが難しい。
狐(きつね)の中でも功徳を積んだ狐が人に取り憑いた場合は
その人の気が触れたのかと思うような状態になる。
(憑きもののせいではなく単に気違いとも思われる。)
そのような、狐憑きの場合にも用いる。
いずれにせよ、
邪気をおびき出して様子を観ることで
療治しようと思うときに用いる針の手法である。
諸々の病があり、それらの病証を知ることが難しい場合の
「問う針」と心得よ。
参考文献:
『鍼道秘訣集』(京都大学附属図書館所蔵)より
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00003559
(掲載画像は該当部分を抜粋)
『弁釈鍼道秘訣集』 緑書房
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。