一時話題になったプロレスロープ・・・ではなくホームドア
一時話題になったプロレスロープ・・・ではなくホーム柵

こんにちは下野です。
今回も『諸病の主薬』の記事に参ります。


【原文】
便血、須用槐花、地楡、為主。
痔瘡、須用黄連、為主。
脱肛、須用升麻、柴胡、為主。
諸虫、須用史君子、檳榔、為主。
婦人諸病、香附、為主

<第二十八に続く>


【解説】
血便には槐花、地楡を使用すべし。

痔には黄連を使用すべし。

脱肛には升麻、柴胡を使用すべし。

諸虫(寄生虫・回虫)には史君子、檳榔を使用すべし。

婦人の諸病には香附を使用すべし。

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槐花かいか

槐花『中医臨床のための中薬学』より
槐花『中医臨床のための中薬学』より

マメ科エンジュの花、又は花蕾。
性味:苦・微寒
帰経:肝・大腸
効能:
①涼血止血
・大腸火盛や湿熱の鬱結による血便に。
方剤例 → 槐花散。
・血熱の鼻血に。

②清肝降火
・肝火上炎の目の充血や頭痛、イライラに。

地楡じゆ

地榆『中医臨床のための中薬学』より
地榆『中医臨床のための中薬学』より

バラ科のワレモコウの地下部。
性味:苦・酸・微寒
帰経:肝・胃・大腸
効能:
①涼血収渋止血
・血熱の鼻出血や吐血、血尿、血便などに。
・湿熱の出血性下痢に。
方剤例 → 地榆丸。
・血熱の不正性器出血に。
方剤例 → 涼血止崩湯。

②消腫止痛
・皮膚化膿症や熱傷に。

黄連おうれん

黄連
黄連

キンポウゲ科のオウレン属の根茎。
性味:苦・寒
帰経:心・脾・肝・胆・胃・大腸
効能:
①清熱燥湿
・大腸湿熱の下痢や裏急後重に。
方剤例 → 香連丸・芍薬湯・葛根黄笒黄連湯。
・腸胃湿熱の腹満や嘔吐、悪心、下痢に。
方剤例 → 半夏瀉心湯・枳実消痞丸。
・三焦湿熱の潮熱や胸苦しい、口渇、嘔吐などに。
方剤例 → 杏仁滑石湯。

②清熱瀉火
・熱入心包の高熱や意識障害、譫言、煩燥などに。
方剤例 → 牛黄清心丸・安宮牛黄丸。
・火盛迫血妄行の吐血、鼻血に。
方剤例 → 三黄瀉心湯。
・心火上炎の焦燥、不眠、口内炎に。
方剤例 → 朱砂安神丸。
・陰血不足があるときに。
方剤例 → 黄連阿膠湯。
・胃火の消穀善飢、歯痛に。
方剤例 →清胃散。
・肝火胃犯の胃痛や嘔吐、胃酸過多に。
方剤例 → 左金丸。
・肝火上炎による目の充血や腫れ、痛みに。
方剤例 → 当帰竜薈丸。
・胸中積熱・腸中有寒の腹痛、嘔吐に。
方剤例 → 黄連湯。

③清熱解毒
・熱毒の高熱、煩燥、目の充血、腫れ、咽喉の痛み、皮膚化膿症に。
方剤例 → 黄連解毒湯・普済消毒散。
・火毒による目の充血や腫れ、痛みに。

升麻しょうま

升麻『中医臨床のための中薬学』より
升麻『中医臨床のための中薬学』より

キンポウゲ科のサラシナショウマの根茎。
性味:甘・辛・微寒
帰経:脾・胃・肺・大腸
効能:
①発表透疹
・麻疹初期、透発が不十分な時に用いる。
方剤例→升麻葛根湯・宣毒発表湯。

②清熱解毒
・胃火亢盛による歯茎のびらん、口内炎、口臭に。
方剤例→清胃湯。
・熱毒による咽の痛み、発赤に。
方剤例→晋済消毒飲。

③昇拳陽気
・気虚下陥の慢性下痢、脱肛、子宮筋腫に。
方剤例→補中益気湯・昇陥湯。

柴胡さいこ

柴胡
柴胡

セリ科のミシマサイコ。
又はその変種の根。
性味:苦・微辛・微寒
帰経:肝・胆・心包・三焦
効能:
①透表泄熱
・外感表証の発熱に。
方剤例 → 柴葛解肌湯。
・少陽在邪の寒熱往来、口苦、胸苦しい、悪心などに。
方剤例 → 小柴胡湯。

②疏肝解鬱
・肝鬱気滞の憂鬱やイライラ、月経不順などに。
方剤例 → 四逆散・柴胡疏肝散・逍遙散。

③昇拳陽気
・気虚下陥の慢性下痢や脱肛、子宮下垂に。
方剤例 → 補中益気湯・昇陥湯。

④その他
・瘧疾の寒熱発作に。
方剤例 → 柴胡達原飲。

使君子しくんし

使君子『中医臨床のための中薬学』より
使君子『中医臨床のための中薬学』より

シクンシ科インドシクンシの成熟した果実。
性味:甘・温
帰経:脾・胃
効能:
①殺虫消積
・回虫が原因の腹痛や蟯虫に。
方剤例 → 胆道駆蛔湯・使君子丸・治蟯虫方。

②健脾療疳
・小児の疳積に。
方剤例 → 治脾疳方・局方肥児丸。
・疳積の重症で四肢は痩せて、腹が膨満しているときに。

檳榔びんろう

檳榔『中医臨床のための中薬学』より
檳榔『中医臨床のための中薬学』より

ヤシ科の檳榔樹の成熟した種。
性味:苦・辛・温
帰経:胃・大腸
効能
①行気消積・瀉下
・食積気滞の腹満や腹痛、便秘等に。
方剤例 → 木香檳榔丸。
・湿熱下痢のテネスムスに。
方剤例 → 芍薬湯。

②利水消腫
・脚気の腫脹や痛みに。
方剤例 → 鶏鳴散・九味檳榔湯。
・実証の水腫に。

③殺虫
・線虫や回虫の虫積に。

④その他
・マラリア等に。

香附こうぶ

香附『中医臨床のための中薬学』より
香附『中医臨床のための中薬学』より

カヤツリグサ科のハマスゲの細根などを除いた根茎。
性味:辛・微苦・微甘・平
帰経:肝・三焦
効能:
①理気解鬱:
・肝鬱気滞による胸の脹痛、腹満、憂鬱など。
方剤例→柴胡疎肝散。
・気、血、痰、湿、熱、食鬱による胸苦しい、嘔吐、消化不良などに。
方剤例→越鞠丸。
・寒凝気滞による腹痛やお腹の張りに。
方剤例→良附丸。

②調経止痛:肝鬱気滞による月経の乱れや痛みに。
方剤例→香附芎帰湯・艾附丸。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『鍼灸医学事典』 医道の日本社

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是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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