<近日開催予定のイベント>
8月20日(日):第五回、鍼灸学生の為の勉強会〜【医古文・漢文の読み方No.2】〜
こんにちは、大原です。
鍼道秘訣集は
ここから具体的な鍼の方法についてになります。
今回は火曳之針です!
〜Back Number〜
鍼道秘訣集を読む その1 → 鍼道秘訣集序
鍼道秘訣集を読む その2 → 一.當流他流之異
鍼道秘訣集を読む その3 → 二.當流臓腑之辯
鍼道秘訣集を読む その4
鍼道秘訣集を読む その5
鍼道秘訣集を読む その6 → 三.心持之大事
鍼道秘訣集を読む その7 → 四.三清浄
鍼道秘訣集を読む その8
鍼道秘訣集を読む その9
鍼道秘訣集を読む その10
鍼道秘訣集を読む その11
鍼道秘訣集を読む その12
鍼道秘訣集を読む その13 → 五.四脉之大事
鍼道秘訣集を読む その14
六.火曳之針
是針ノ術ハ臍下三寸両腎ノ真中也産後血
暈トテ子産テノ後眩暈ノ来ル日臍下三寸
ニ針シテ上ル氣ヲ曳下ス針也譬産後ニ目眩
無トモ三十一日ノ内ニ三度程針スル物也扨
凡病証上實シテ下虚スル人ハ必ス上氣スル
加様ノ者ニ火拽ノ針ヲ用ル是外病証ニ依
テ用ル事醫ノ機轉可依也
六.火曳之針
この針の術は臍下三寸、両腎の真中なり。
産後の血暈(けつうん)とて子産みて後、眩暈の来たる日(とき)、
臍下三寸ニ針して上る氣を曳き下ろす針なり。
譬(たと)え産後に眩暈無くとも、
三十一日の内に三度程針する物なり。
さて、凡そ病証上実して下虚する人は必ず上氣する。
加様の者(ひと)に火曳の針を用る。
このほか、病証に依って用いること、医の機転によるべきなり。
語句の意味などを補足しながら訳してみましょう。
この針の術は臍の下3寸、両方の腎臓の真ん中に用いる。
出産後の婦人は下焦が弱まったため、
相対的に上が実し、のぼせや血暈(けつうん:貧血をして倒れる)を起こす。
臍下三寸に針して上がる気を下へ下ろす針である。
この針は、産後に眩暈が無かったとしても
産後31日の内に三回程するものである。
下焦が弱って相対的に上が実しているものを上実下虚というが、
このような人は必ず上気する(気が上がる)。
この日曳の針を用いて気を下ろす。
その他の病症にも用いてよいが、
これは医者の機転によるべきである。
火は上に上がることから、
上気する様子を「火」に例え、
「火曳之針」と名付けられたようです。
参考文献:
『鍼道秘訣集』(京都大学附属図書館所蔵)より
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00003559
(掲載画像は該当部分を抜粋)
『弁釈鍼道秘訣集』 緑書房
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。