こんにちは、下野です。
先日、スマホを電車内に置き忘れるという
失態をおかしてしまいました。
ロック解除が必要ですし、
重要なアプリもロック解除が必要にしているのですが、
取られでもしたら
解除されるのも時間の問題でしょうし、
個人情報の塊ですので非常に焦りました(°°;)
皆さまもお気をつけ下さい。

無事 手元に戻ってきました。
無事 手元に戻ってきました。

では今回も『諸病の主薬』の記事に参ります。


【原文】
消渇、須用天花粉、為主。
生津液、須用人参、五味子、麦門冬、為主。
赤白濁、須用茯苓、為主。
遺精、須用竜骨、牡蠣、為主。
小便閉、須用木通、車前子、為主
大便閉、須用大黄、芒硝、為主

<第二十七に続く>


【解説】
消渇(口渇・多飲・多尿)には、天花粉を使用すべし。

津液を生じさせるには人参、五味子、麦門冬を使用すべし。

血尿、膿尿には、茯苓を使用すべし。

遺精には、竜骨、牡蠣を使用すべし。

尿閉には、木通、車前子を使用すべし。

大便閉(便秘)には、大黄、芒硝を使用すべし。

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◉天花粉

天花粉『中医臨床のための中薬学』より
天花粉『中医臨床のための中薬学』より

ウリ科のシナカラスウリなどの肥大根の外皮を去ったもの。
性味:甘・微苦・酸・微寒
帰経:肺・胃
効能:
①養胃生津・止渇
・熱病の傷津の口渇に。
・内熱の消渇に。
方剤例 → 玉液湯・生津飲。

②清肺潤燥
・肺熱の咳嗽や肺燥の咳嗽や喀血に。
方剤例 → 滋燥飲。

③消腫排膿
・皮膚の化膿症に。
方剤例 → 仙方活命飲・金黄散。

◉人参

人参
人参

ウコギ科のオタネニンジンの根。
性味:甘・微温・微苦
帰経:肺・脾
効能
①補気固脱
・大病・久病・大出血・激しい吐瀉などで
元気が虚衰して生じるショック状態で脈が微を呈するときに。
・亡陽で四肢の冷え・自汗などを呈するときに。
方剤例 → 参附湯。

②補脾気
・脾気虚による元気がない・疲れやすい・食欲不振・四肢無力・泥状~水様便などの症候に。
・気虚下陥による内臓下垂・子宮下垂・脱肛・慢性の下痢などの症候に。
方剤例 → 補中益気湯。
・気虚下陥
元気がない・疲れやすい・動くと息切れがする・
四肢がだるく無力・立ちくらみ・頭痛・眩暈などに。
・気虚発熱
発熱・体の熱感・自汗・悪風・口渇があり熱い飲食を欲する・息切れ・元気がない。

③益肺気
肺気虚による呼吸困難・咳嗽・息切れ(動くと憎悪する)・自汗などの症候に。
方剤例 → 人参蛤蚧散。

④生津止渇
・熱性の気津両傷で高熱・口渇・多汗・元気がない・脈が大で無力などに。
・気津両傷による元気がない・息切れ・口渇・皮膚の乾燥・脈が細で無力などに。
方剤例 → 加減復脈湯。
・消渇証の口渇・多尿に。

⑤安神益智
・気血不足による心神不安の不眠・動悸・健忘・不安感などに。

⑥その他
血虚に対し補血薬と用いて益気生血し、
陽虚に対し補陽薬と使用して益気壮陽し、
補血・壮陽の効果を強める。
正虚の表証や裏実正虚に、
解表薬や攻裏薬とともに少量を使用する。

五味子ごみし(五味)

五味子
五味子

マツブサ科チョウセンゴミの成熟した果実。
性味:酸・温
帰経:肺・心・腎
効能:
①斂肺止咳・定喘
・肺虚、肺腎両虚の慢性咳嗽や呼吸困難に。
方剤例 → 五味子湯・麦味地黄丸。
・肺寒の咳嗽に。
方剤例 → 五味細辛湯・小青竜湯。

②固表斂汗
・陰虚の盗汗や陽虚の自汗に。
方剤例 → 柏子仁丸。

③益腎固精
・腎虚の遺精や頻尿、尿失禁に。
方剤例 → 桑螵蛸丸。

④渋腸止瀉
・脾腎陽虚の五更泄瀉、慢性の下痢に。
方剤例 → 四神丸。

⑤益気生津・止渇
・気陰両傷の口渇や疲労感、動悸などに。
方剤例 → 生脈散・清暑益気湯。
・気陰両虚の消渇に。
方剤例 → 玉液湯・黄耆湯・麦門冬飲子。

麦門冬ばくもんどう

麦門冬
麦門冬

ユリ科のジャノヒゲの塊根。
性味:甘・微苦・微寒
帰経:肺・心・胃
効能:
①清熱潤肺・止咳
・肺熱傷陰や肺陰虚の咳や痰、血痰に。
方剤例 → 麦門冬湯・沙参麦冬湯・二冬膏・竹葉石膏湯。

②養胃生津
・胃陰不足の口渇や舌の乾燥に。
方剤例 → 益胃湯・養胃湯。
・熱病の傷津耗気で口渇、気力がない、脈細等を呈するときに。
方剤例 → 生脈散・加減復脈湯。

③清心除煩
・心陰虚の不眠や焦燥に。
方剤例 → 天王補心丹。
・温熱病の営分証に。
方剤例 → 清営湯・清宮湯。

④潤腸通便
・津液の虛による便秘に。
方剤例 → 益液湯。

茯苓ぶくりょう

茯苓
茯苓

サルノコシカケ科のマツホドの外層を除いた菌核。
性味:甘・淡・平
帰経:心・脾・肺・腎・胃
効能:
①利水滲湿
・水湿停滞の尿量減少や浮腫に。
方剤例 → 四苓散・五苓散。

②健脾補中
・脾虚の食欲不振や元気がない、腹鳴、水様便などに。
方剤例 → 四君子湯・啓脾湯・参苓白朮散。
・脾虚の水湿停滞で悪心や嘔吐、めまいなどに。
方剤例 → 二陳湯・半夏白朮天麻湯・六君子湯・小半夏加茯苓湯。

③寧心安神
・心神不寧の不眠や動悸などに。
方剤例 → 帰脾湯・安神定志丸。

竜骨りゅうこつ

竜骨『中医臨床のための中薬学』より
竜骨『中医臨床のための中薬学』より

古代の大型哺乳動物の化石とされ、
主にゾウ類、サイ類、ウマ類、シカ・ウシ類など。
性味:甘・渋・平
帰経:心・肝・腎
効能:
①鎮心安神
・心神不寧の動悸や健忘、多夢などに。
方剤例 → 桂枝加竜骨牡蠣湯・枕中丹・安神定志丸。

②平肝潜陽
・肝陰虚陽亢のふらつき、めまいなどに。
方剤例 → 鎮肝熄風湯。

③収斂固脱
・陽虚の自汗に。
方剤例 → 二加竜牡湯。
・陰虚の寝汗に。
・腎虚の遺精に。
方剤例 → 竜骨湯・金鎖固精丸。
・脾虚の慢性下痢に。
方剤例 → 竜骨散。
・性器出血や月経過多、帯下に。
方剤例 → 清帯湯。

④生肌斂瘡
皮膚の潰瘍や外傷出血に。

牡蠣ぼれい

牡蠣
牡蠣

イタボガキ科マガキ、その他同属動物の貝殻。
性味:鹹・渋・微寒
帰経:肝・胆・腎
効能:
①鎮驚安神
・心神不寧の驚きやすい、びくびくする、焦燥感、不眠等に。

②益陰潜陽
・熱病傷陰・虚風内動の手足のひきつり、震え等に。
方剤例 → 二甲復脈湯。
・肝陰虚や肝陽上亢のふらつき、頭痛、耳鳴り等に。
方剤例 → 鎮肝熄風湯。

③収斂固脱
・自汗や寝汗に。
方剤例 → 牡蠣散・柏子仁丸。
・遺精・滑精に。
方剤例 → 金鎖固精丸。
・不正性器出血や月経過多、帯下に。
方剤例 → 清帯湯・牡蠣丸。

④軟堅散結
・頚部のリンパ節腫やしこり、肝腫・脾腫に。
方剤例 → 消瘰丸・治肝脾腫大方。

⑤その他
・胃痛呑酸に用いる。

木通もくつう

木通『中医臨床のための中薬学』より
木通『中医臨床のための中薬学』より

アケビ科のアケビ、
及び同属植物の蔓性茎。
性味:苦・寒
帰経:心・肺・小腸・膀胱
効能
①降火利水
・心火が小腸に移り生じる焦燥や不眠、口内炎、排尿痛、排尿困難に。
方剤例 → 導赤散。
・下腿の浮腫や痛み、尿量の減少に。
方剤例 → 木通散。

②宣通血脈
血瘀の無月経、乳汁分泌不全、湿熱の痺症の関節痛や運動障害に。

車前子しゃぜんし

車前『中医臨床のための中薬学』より
車前『中医臨床のための中薬学』より

オオバコ科のオオバコやムジナオオバコ等の
成熟した種子。
性味:甘・淡・寒
帰経:肝・腎・肺・小腸
効能
①清熱利水
・湿熱の水腫や尿量の減少、排尿痛、尿が濃い等に。
方剤例 → 八正散・五淋散。

②滲湿止瀉
・暑温狭湿の嘔吐や下痢、尿量の減少に。
方剤例 → 車前子散。

③清肝明目
・肝熱による目の充血や腫脹、痛みに。
方剤例 → 車前散。
・肝腎不足の視力低下や飛蚊症、流涙等に。
方剤例 → 駐景丸。

④化痰止咳
肺熱の咳嗽や痰に。

大黄だいおう

大黄
大黄

タデ科のダイオウ属植物。
又は、それらの種間雑種の根茎。
性味:苦・寒
帰経:脾・胃・大腸・肝・心包
効能:
①瀉熱通腸
・胃腸の実熱積滞の便秘や腹痛、高熱、意識障害などに。
方剤例 → 大承気湯・小承気湯・調胃承気湯。
・大腸湿熱の下痢や腹痛、テネスムスなどに。
方剤例 → 芍薬湯。
・食積の下痢や腹満、腹痛に。
方剤例 → 木香檳榔丸・枳実導滞丸。
・寒積の便秘や腹痛、冷えなどに。
方剤例 → 温脾湯・大黄附子湯。

②清熱瀉火・凉血解毒
・火熱上亢の目の充血、喉の痛みや腫れ、歯痛、鼻血など。
方剤例 → 三黄瀉心湯・凉膈散・当帰竜薈丸。
・虫垂炎に。
方剤例 → 大黄牡丹皮湯・闌尾化瘀湯・闌尾清化湯。
・皮膚化膿症に。

③行瘀破積
・血瘀の無月経や産後瘀阻の腹痛に。
方剤例 → 無積丸・下瘀血湯。
・打撲外傷の腫れや痛みに。
方剤例 → 復元活血湯・治打撲一方・通導散。

④清化湿熱
・湿熱の黄疸に。
方剤例 → 茵蔯蒿湯。
・水熱互結の結胸による心窩部〜下腹の痛み、発熱などに。
方剤例 → 大陥胸湯。
・腹水の腹満や便秘、尿量の減少に。
方剤例 → 已椒藶黄丸。

芒硝ぼうしょう
天然の含水硫酸ナトリウム。
又は風化消。
性味:鹹・苦・寒
帰経:胃・大腸・三焦
効能:
①瀉熱通便・潤燥軟堅
・胃腸実熱による腹満や腹痛、便秘、高熱、意識障害などに。
方剤例 → 大承気湯・調胃承気湯。
・水熱互結の結胸による心窩部〜下腹の痛み、発熱などに。
方剤例 → 大陥胸湯。

②清熱消腫
・咽喉のびらんや腫れ、口内炎に。
方剤例 → 冰硼散。
・目の充血や腫れ、痛みに。
・皮膚化膿症や痔核の痛みに。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『鍼灸医学事典』 医道の日本社

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下野

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