こんにちは、為沢です。

今回は張景岳ちょうけいがくの『質疑録しつぎろく』の第二章「論真中風外有六経之形症」の其の三です。


和訓:
傷寒の六経は次第に伝変す、
故に仲景に麻黄、桂枝、大小承気の法有り、
若し中風ならば猝暴そつぼうり、一時に猝倒昏迷し、
経絡を分ちがたし、而して臓腑、血脈の別有り、
或いは足の六経に中り、或いは手の六経に中る、
傷寒のごとく次第に伝わる者に非らざるなり。
若し中風の六経の形症なるものは
則ち傷寒の形症なりと謂い、傷寒を治するの法を以て
中風を治せんと欲するは、其の殺人に至らざることいずくんぞまれならんや。


・傷寒の六経は次第に順序よく伝変するものであるから、
仲景は麻黄湯、桂枝湯、大小承気湯というように伝変に沿って薬方を創立した。

・中風というものは、卒暴病(急に激しい病症をきたす病)であって、
急に卒倒昏迷するので、経絡を判別するのは大変難しいものである。

・臓腑か、血脈か、足の六経に中ることもあり、
あるいは手の六経に中ることもあって、
必ずしも足の六経に中るとは限らず、
傷寒のように順序よく次第に伝わっていくような病ではない。

・もし中風の六経の形症などと言って、
それを傷寒の六経の形症と同じだとするのは、
傷寒の治法でもって中風を治そうと思っているからであろう。

・そのようなことをして殺人にならないものは
ほんとうに稀なことであろう。

つづく…


参考文献:
『中国医典 質疑録』 緑書房
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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