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下野です。
地元をブラブラしていると、
町家を改装したシェアアトリエスペースを
発見しました。
英会話教室から写真屋、工務店に料理やネイルサロンetc.
色んな業種の方々が集まっておりました。
見学は自由みたいなので、
また時間があるときに訪れようと思います。
では『諸病の主薬』の記事になります。
【原文】
止諸痛、須用乳香、没薬、為主。
腰痛、須用杜仲、故紙、為主。
脇痛、須用白芥子、青皮、為主。
手臂痛、須用薄桂、羗活、為主。
疝痛、須用小茴香、川練子、為主。
<第二十四に続く>
【解説】
諸痛を止めるには、乳香、没薬を使用すべし。
腰痛には、杜仲、故紙を使用すべし。
脇痛には、白芥子、青皮を使用すべし。
手臂(腕)痛には、薄桂、羗活を使用すべし。
疝痛には、小茴香、川練子を使用すべし。
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◉乳香
カンラン科ボスウェリア属の樹木の樹脂。
性味:辛・苦・温
帰経:心・肝・脾
効能:
①活血止痛
・気滞血瘀の月経痛や無月経、腹痛等に。
方剤例 → 活絡効霊丹。
・打撲外傷の腫れや痛みに。
方剤例 → 七厘散。
②消腫生肌
・皮膚化膿症の痛みや腫れの初期段階に。
方剤例 → 仙方活命飲。
・頚部のリンパ腫や皮下結節が慢性化したときに。
方剤例 → 醒消丸。
・瘡口が収斂しないときに。
方剤例 → 海浮散。
③伸筋活絡
・痺証の痛みや拘縮に。
方剤例 → 趁痛散・小活絡丹。
◉没薬
カンラン科ボスウェリア属の樹木の
傷口から流出した樹脂。
性味:苦・辛・平
帰経:肝
効能:
①散瘀止痛
・血瘀の胸痛や腹痛、月経痛、無月経等に。
方剤例 → 没薬散・活絡効霊丹。
・打撲外傷の腫れや痛みに。
方剤例 → 七厘散。
②消腫生肌
・皮膚化膿症の痛みや腫れの初期段階に。
方剤例 → 仙方活命飲。
・上記疾患が慢性化したときに。
方剤例 → 醒消丸。
・瘡口が収斂しないときに。
方剤例 → 海浮散。
◉杜仲
トチュウ科トチュウの樹皮。
性味:甘・温
帰経:肝・腎
効能:
①補肝腎・強筋骨
・肝腎不足の腰膝の無力や痛みに。
方剤例 → 青娥丸・金剛丸。
・腎陽虚のインポテンツや勃起不全、頻尿に。
方剤例 → 十補丸。
②固経安胎
・肝腎不足の不正性器出血や習慣性の流産、妊娠中の性器出血に。
方剤例 → 杜仲丸。
◉補骨脂(破故紙)
マメ科オランダビユの成熟した種子。
性味:辛・苦・渋・大温
帰経:腎・脾
効能:
①補腎壮陽・固精縮尿
・腎陽虚の勃起不全や遺精、遺尿に。
方剤例 → 補骨脂丸・破故紙丸。
・腎陽虚の腰痛や冷え、膝の無力感に。
方剤例 → 青娥丸。
②温脾止瀉
・脾腎陽虚の五更泄瀉に。
方剤例 → 二神丸・四神丸。
③温腎納気・平喘
・腎陽虚、不納気の呼吸困難に。
◉白芥子
アブラナ科のシロガラシの成熟した種子。
性味:辛・温
帰経:肺・胃
効能:
①豁痰利気
・寒痰壅肺の痰や咳嗽、呼吸困難などに。
方剤例 → 三子養親湯。
・痰飲積滞胸脇の咳嗽や呼吸困難、胸痛に。
方剤例 → 控涎丹。
②散結消腫
・痰留経絡による四肢関節の痛みに、
方剤例 → 白芥子散。
・流注膿瘍や慢性で化膿傾向に乏しい陰疽に。
方剤例 → 陽和湯。
・痰核や陰疽に。
◉青皮
ミカン科のオオベニミカン、コベニミカン、
又はその同属植物の成熟前の果皮。
性味:苦・辛・温
帰経:肝・胆・脾・胃
効能:
①疎肝破気
・肝鬱気滞の胸脇部の脹痛・イライラ・憂鬱に。
・気滞血瘀の肝腫・脾腫に。
・肝鬱化火の乳腺炎に。
方剤例→橘葉栝楼散。
・気滞痰凝の乳房の腫塊に。
・寒滞肝脈による疝気の痛みに。
方剤例→天台烏薬散。
②消積化滞
・食積の腹満や腹痛・腐臭の曖気に。
方剤例→青皮丸。
◉肉桂(薄桂)
クスノキ科のニッケイ、又は同属植物の幹皮。
性味:辛・甘、大熱
帰経:肝・腎・心・脾・胃
効能:
①温中補陽
・腎陽虚の四肢の冷えや寒がる、腰膝酸軟、
陽萎、頻尿、排尿困難、夜間尿など。
方剤例 → 桂附八味丸・右帰飲・右帰丸。
・脾腎陽虚の食欲不振や腹痛、泥状〜水様便などに。
方剤例 → 桂令丸・桂附理中丸。
②散寒止痛
・虚寒の胃痛や腹痛、疝痛などに。
・虚寒の月経痛に。
方剤例 → 理陰煎。
・寒痺の腰痛に。
③温痛経脈
・慢性の皮膚潰瘍、寒冷腫瘍、化膿傾向に乏しい慢性炎症などに。
方剤例 → 陽和湯・托裏散。
・経寒血滞の無月経や月経痛、下腹部の冷痛などに。
④その他
・補気・補血の方剤に少量配合することで、
陽気を温化して気血双補を強める。
方剤例 → 十全大補湯・人参養栄湯。
◉羗活
中国産は、セリ科の多年草キョウカツ、
または寛葉羗活の根と根茎。
日本産はウコギ科のウドの根。
性味:辛・苦・温
帰経:膀胱・肝・腎
効能:
①散寒燥湿解表
・風寒湿邪の外感による悪寒、発熱、関節の痛みに。
方剤例 → 九味羗活湯。
②祛風湿、止痛
・風寒湿痺の関節痛に。
方剤例 → 羗活勝湿湯。
◉小茴香
セリ科ウイキョウ属の成熟した果実。
性味:辛・温
帰経:肝・腎・脾・胃
効能:
①散寒止痛
・寒滞肝脈の四肢厥冷や
下腹部から陰部・大腿内側部にかけての疝痛等に。
方剤例 → 暖肝煎・天台烏薬散。
・睾丸の疼痛に。
方剤例 → 香橘散。
・陰嚢水腫にも用いる。
②理気和胃
・胃寒の上腹部の痛みや嘔吐、食欲不振に。
方剤例 → 安中散。
◉川楝子
正名は苦楝子。
センダン科トウセンダンの成熟果実。
性味:苦・寒・小毒
帰経:肝・胃・小腸・膀胱
効能:
①疏泄肝熱・解鬱止痛
・肝鬱気滞・肝鬱化火の胸脇部の痛み、
イライラ、口が苦い等に。
方剤例 → 金鈴子散。
・肝腎陰虚の胸脇部、胃の痛み、口や喉の渇き等に。
方剤例 → 一貫煎。
②行気止痛
・寒疝の下腹部痛、陰嚢収縮に。
方剤例 → 導気湯・天台烏薬散・金萸丸。
・睾丸の腫痛や湿熱下注の疝痛にも。
③殺虫
・虫積の腹痛に。
<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『鍼灸医学事典』 医道の日本社
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下野