<近日開催予定のイベント>
9月10日(日):【第三回 一般向け東洋医学養生講座】


こんにちは、為沢です。

今回は張景岳ちょうけいがくの『質疑録しつぎろく』の第二章「論真中風外有六経之形症」の其の一です。


和訓:
真中風は外に六経の形症有りを論ず

中風証は潔古、東垣の論に従うが宜しく、
臓にあたる、腑にあたる、血脉に中るを以て弁証のまとと為す。
潔古は「中腑は四肢に着くこと多く、中臓は九竅きゅうきゅうとどこおること多し。」と云う。
東垣は亦た「中腑は則ち肢節廃し、
中臓は則ち性命あやうく、中血脉は則ち口眼喎邪かしゃす。」と云う。
而して方書に載せられたる所には、
外に六経の形症有りて、大小続命を以て主ると為すと混言す。
夫れ人身の臓腑は十二経有り、手に三陽三陰有り、足に三陽三陰有り。
中風の六経の形症有りとは、手の六経なるや。それとも足の六経なるや。
六経の症はだ傷寒のみ之れ有り。
或いは中風の六経の形症と謂うは即ち是れ傷寒の六経の形症のことか、
傷寒の六経の症を引きて以て中風の六経の症を解せんとするに到る。
其の言は大いにわらう可きと為すなり。


・中風証の区分の方法は張潔古(元素)と李東垣の論に従うとよい。
彼らは中風証を
中臓・中腑・中血脈の三者に分けて、それを弁証している。

張潔古(元素)の論
『医学啓源』中風

“手足不遂者、中腑也、病在表也…、
耳聾目瞀及口偏、邪中臓也、病在裏也…”

訳:
手足が動かない者は腑に中り、病は表にある…、
耳聾・目瞀・及び口偏するものは邪が臓に中り、病は裏にある。

 

李杲『中国医学の歴史』より
李杲『中国医学の歴史』より

李東垣の論

”中腑は四肢の麻痺を来たし、中臓は生命を犯し、
中血脈は口眼喎邪(=顔面神経麻痺)を来す”
(原文見つからず…探しておきます)

しかし、医書には
”六経の形症というものが外に出現し、
それらを治すのに大小の続命湯を用いる”
と記載されている。

・十二経という手の三陽三陰、足の三陽三陰があり、
中風が六経の形症があるというのは、
一体それは手の六経のことを言っているのか?
それとも足の六経のことを言っているのか?

・六経の症というものは張仲景の傷寒のみにあるだけである。
中風の六経の形症というものは、
傷寒の六経の形症と同じものであるとして、
傷寒の六経の症の治法を引用して中風の六経の症なるものを
治さんとするのであろうか。
その言は大いに笑われるべきである。


参考文献:
『中国医典 質疑録』 緑書房
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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