<近日開催予定のイベント>
8月20日(日):第五回、鍼灸学生の為の勉強会〜【医古文・漢文の読み方No.2】〜
こんにちは、為沢です。
今回は張景岳の『質疑録』の第一章「論傷寒無補法」の其の一です。
和訓:
傷寒に補法無しを論ず
傷寒は千態万状なれど只虚実の二字に尽きる。
一実一虚、則ち邪正相勝負を為す、
正が勝てば則ち愈え、邪が勝てば則ち死す。
若し正気の実なる者は即ち大邪を感ずとも、其の病は亦た軽し、
正気の虚なる者は即ち微邪を感ずとも、其の病は亦た甚し。
故に凡そ気の実して病む者は但だ其の邪を去るのみ、
攻むるに難きこと無し、慮る可き所は惟だ傷寒を挟みたるを難きと為すのみ。
最も恨むべきは、「傷寒に補法無し」と曰うもの有りて、
人心を惑乱すること此れより甚しきもの莫きことなり。
ここでいう「傷寒に補法なし」は
前回述べた「劉・張」(質疑録:序)こと、劉完素や張従正などの学説にあたる。
・劉完素は「六気はすべて火化に従う」という観点に立ち、
火熱の邪が各種の疾病のなかで主要な邪となっているものと判断した。
火熱による疾病の特徴に基づき、『傷寒論』にある
「温薬で発汗させて表を解す」
「先に表証を治療し後に裏証を治療する」
「攻下は少し遅れても構わない」といった通例を破り、
治療において寒涼剤を多用した。
・張従正は、劉完素の学説を重要視し、
「病は邪より生ず、邪を攻むれば病已む」という攻邪論を主張。
この章では、上記のような学説に異議を唱え
”傷寒に補法なしとは何を言うてんねん!”と声を挙げております。
其の二へ続く…
参考文献:
『中国医典 質疑録』 緑書房
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
為沢