この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。
5/17(水)
太陽病中篇より
(98条)
得病六七日、脈遅浮弱、悪風寒、手足温。
医二三下之、不能食、而脇下満痛、面目及身黄、頚項強、小便難者、与柴胡湯、後必下重。
本渇、而飲水嘔者、柴胡湯不中与也、食穀者噦。
(99条)
傷寒、四五日、身熱、悪風、頸項強、脇下満、手足温而渇者、小柴胡湯主之。
(100条)
傷寒、陽脈渋、陰脈弦、腹中急痛者、先与小建中湯。
不差者、小柴胡湯主之。
前回に続いて、小柴胡湯の条文である。
98条〜100条は、3つの条文が、相互に関連がありそうな内容である。
まず98条では、医者が2,3回下法を用いたことで
中焦の気が不足したためか、食することができなくなるなど、
あらゆる症状が出てきたという内容である。
99条は、太陽病、陽明病、少陽病の三陽病の合病であり、
この場合は少陽病を治すのが良い。
少陽が和すると、陽明病、太陽病も緩解する可能性が高い。
これを踏まえて98条を考えると、
下法を医者は用いたが、
ここでは三陽合病である可能性が高く、
まずは和法を用いるべきであったと思われる。
医者が下法を用いて中焦の気が落ち込んでしまっているため、
ここで小柴胡湯を用いてしまうと、
より中焦の気が落ち込むなどのリスクがあるため、
用いてはならないということだろう。
100条で述べられているように、
まずは小建中湯を用いて中焦の気を建て、
その後、少陽病が残るようであれば
小柴胡湯を用いると良いだろう。
ちなみに100条の陽脈(浮位の脈)が濇とは、
気血の流れが不十分であることを示している。
中焦の気の不足や血虚を考えるべきで
小建中湯などが適する。
陰脈(沈位の脈)が弦とは、
気血の流れる管が堅く、
結果として気血の流れが不自然に強くなっている状態である。
前後の条文の文脈から、これは少陽病を表していると考える。
(続く)
参加者:下野、新川、大原、盧