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「姜を八九月食へば来春眼をうれふ。」
貝原 益軒『養生訓』より
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下野です。
本日は『養生訓』の記事になります。
今回は非常に短いものですが、
現代の方でも多くの方が冷え性対策として
摂られる”生姜”に関してになります。
では本内容ですが、
「生姜を8月、9月と摂りすぎると、
翌春に眼を病むことになる。」
といった、本当にサラッとした内容になります。
なぜ”生姜”がいけないのか?
先ずは中薬学的な性質から見てみます。
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◉生姜
”ショウガ”とは言わず、”ショウキョウ”と読みます。
ショウガ科のショウガの根茎。
性味:温・辛
帰経:肺・脾・胃
効能:
①散寒解表
・風寒表証に辛温解表薬の補助として発汗を増強する。
方剤例 → 桂枝湯。
②温胃止嘔
・胃寒による嘔吐に。
方剤例 → 小半夏湯。
・胃熱の嘔吐にも。
方剤例 → 橘皮竹筎湯。
③化痰行水
・風寒による咳嗽・白色で希薄な痰に。
方剤例 → 杏蘇散。
④解毒
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上記情報からでは
温めて寒を取り去り病気を治す
といったものですが、
これだけでは”眼”に関する事は今ひとつ分かりません。
そこで貝原先生が
『養生訓』を記すにあたって参考にした
李時珍著の『本草綱目』に
以下のような記載があり、
こちらを基にしたものだと思われます。
「食姜久、積熱患目(生姜を食べ続けると、熱が積もり目を患う)」とあり、
また同書で孫思邈の考えを引用し
「八、九月多食姜、至春多患眼
(八、九月に生姜を多く食すと、春に多く眼を患う)」とも記しています。
必ずしも眼に出るというわけではないでしょうが、
夏に熱を取り込み過ぎることで陰分を枯らし
陽気が昂ぶる春木の時期に
発病するというものではないかと思います。
現代では
病気=冷えというような公式?が
出来上がっている感じがしますが、
本当に冷えが入って発病しているものかどうか
よくよく考えなくてはなりません。
では。
<参考文献>
『養生訓』 貝原守一博士校訂本
『口語 養生訓』 日本評論社
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
下野