こんにちは、大原です。
前回は、胃腑についての記述をみてきました。
今回はその続きで、大腸、小腸についてです。
過去の記事のリンク
鍼道秘訣集を読む その1
鍼道秘訣集を読む その2
鍼道秘訣集を読む その3
鍼道秘訣集を読む その4
大小腸圖ノ如シ病証後後ニアラワス故ニ畧ス
臓腑ノ煩ハ十四経鍼灸鍼灸聚英等ニアリ又蔵
腑ニ屬スル處ノ物ハ難経二アル故ニ不レ記可
見合也
原文に句読点などを入れ、
適当と思われるところで改行するなどし、
現代的な読み方にしてみたいと思います。
大小腸、図の如し。病症、後々にあらわす故に略す。
臓腑の煩いは十四経、鍼灸聚英等にあり。
また、臓腑に属する処の物は難経にある故に記さず。
見合いすべしなり。
はじめの「大小腸、図の如し」の「図」とは、
下の、いわゆる夢分流の腹診図を指すものと思います。
この図で、大腸と小腸は、他の臓腑と異なり、
「ここからここまでが大腸・小腸」というような
範囲が設けられておらず、
「他の胃土や腎、膀胱などの範囲ではないところが大腸・小腸」
という印象を受けます。
ある解説によると、
この大腸・小腸は、臓腑の移行部であり、
五臓六腑の病の複雑に絡みあったものが現れる
とあります。
実際の腹診において、
邪実の反応が多く見受けられる場所でもあり、
確かに邪が停滞しやすい場所といえそうです。
また、大腸・小腸は、
図において隣合う胃や腎、膀胱などの影響を
大きく受けたりするということも
この図の意図するところかも知れません。
続いて
「臓腑の煩いは十四経、鍼灸聚英等にあり。
また、臓腑に属する処の物は難経にある故に記さず。」
とあり、大腸・小腸の病症は
『十四経発揮』、『鍼灸聚英』、『難経』に書かれているので
参照してください、と続きます。
古典の内容も重視していることが分かりますね。
続きます。
参考文献:
『鍼道秘訣集』(京都大学附属図書館所蔵)より
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00003559
(掲載画像は該当部分を抜粋)
『弁釈鍼道秘訣集』 緑書房
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。