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こんにちは、為沢です。
張仲景の古医書『傷寒論しょうかんろん』の解説です。

今回の傷寒論は弁厥陰病脈証并治 三百七十一章。
この章では、厥陰病で湿熱下痢が現れた場合の証治について詳しく述べております。



熱利下重者、白頭翁湯主之
厥陰経中の熱邪が化熱して大腸に入れば、
火鬱・湿蒸して腸中の穢物をスムーズに通さず、
陰絡を灼傷するので裏急後重、膿血下痢が出現する。

白頭翁湯の気味は苦・辛で、清熱、堅腸、除湿し、肝木の鬱を疏達する。

白頭翁湯はくとうおうとう

白頭翁
基原:
キンポウゲ科のヒロハオキナグサの根。
異物同名品が多い生薬で、キンポウゲ科以外にも
キク科やバラ科植物に由来するものがあり、
使用には注意が必要である。

白頭翁は苦寒泄降し、
血分に入って腸胃の熱毒蘊結を除き、清熱解毒凉血に働く。
熱毒下痢の要薬であり、アメーバ赤痢・痢疾に著効を示す。

黄柏
黄柏

黄柏
基原:
ミカン科のキハダまたはその他同属植物の周皮を除いた樹皮。
南方に産するものほど樹皮が厚く良品とされる。

黄柏は苦寒で沈降し、清熱燥湿・解毒療瘡に働き
腎経相火を瀉し下焦の湿熱を清泄する効能に優れている。
湿熱蘊結による黄疸・尿閉・淋濁・帯下・熱痢・
泄瀉・便血・痔漏・足膝腫痛、
および陰虚火旺の骨蒸労熱・盗汗遺精・
癰腫瘡毒・湿瘡瘙痒などに用いる。

秦皮
基原:
モクセイ科のトネリコ属植物などの樹皮。

秦皮は苦寒で渋性を帯び、清熱燥湿に収斂を兼ね、
かつ肝胆火熱を清泄するので、
熱痢下重・目赤腫痛を主知する。
先人は風湿痺にも有効であるとしている。

提要:
厥陰病で湿熱下痢が現れた場合の証治について

『現代語訳 宋本傷寒論』訳を使用:
熱性の下痢で裏急後重する場合は、白頭翁で治療する。
白頭翁二両  黄蘗三両  黄連三両 秦皮三両 
右の四味を、七升の水で、二升になるまで煮て、
滓を除いて、一升を温服するが、よくならなければ更に一升を服用する。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社

『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房

『増補 傷寒論真髄』  績文堂

『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社

生薬イメージ画像:為沢 画

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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