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こんにちは、大原です。
なんとなく概略は知っていた『鍼道秘訣集』ですが、
原文にあたってみて
初めて知ったことがいろいろ出てきます。
どのような本でもそうですが、
元の内容を知ることは大事ですね。
過去の記事のリンク
鍼道秘訣集を読む その1
それでは続きです。
できるだけ原文のままになるように
抜粋しております。
一 當流他流之異
他流ノ針誹謗ニハアラス我モ元他針ヲ習事
九流ナリ他流ニテハ病者ニ煩ヒノ様子
ヲ聞療治ヲナセトイエドモ多クハ病人ニ草臥易
レ来當流ノ宗トスル處病人ニ病証ヲ問迄
モ無腹ヲ観兎角ノ病証ヲ此方ヨリ委
ク断ルシカノミナラズ百日針スレドモ漸漸ニ
験ハアレトイエドモ他流ノ来ル事無
是當流名誉也世俗諺品玉モ種無レバ
難レ成云ガ如ク蔵府ノ居處ニ依テ病證
變厥異處ヲ以テ病証ヲモ知還生死ノ
善悪ヲ明ニス當流ノ一一妙ヲ現ス格
ヲ左ニ顯ス心眼ヲ付可レ観専也
原文に句読点などを入れて、
適当と思われるところで改行するなどし、
現代的な読み方にしてみたいと思います。
他流の針を誹謗(そしる)にはあらず、
我も元他針を習う事九流なり。
他流にては病者に煩いの様子を聞き
療治をなせといえども
多くは病人に草臥(くたぶれ)来たり易し。
当流の宗とする所は病人に病証を問うまでも無く腹を観、
兎角(とかく)の病証をこなたより委(くわし)く
断(ことわ)るしかのみならず、
百日針すれども、漸漸(ぜんぜん)に験(しるし)はあれども、
他流の如く草臥(くたびれ)の来る事無し。
これ当流の名誉なり。
世俗の諺に、
品玉も種無ければ成り難んというがごとく、
臓腑の居所によって病証変わる。
その異(かわる)所をもって病証をも知り、
また生死の善悪を明らかにす。
当流の一一、妙を現す、格を左に顕す。
心眼を付け、観るべきこと専(もっぱら)なり。
<語句の意味>
・草臥(くたぶる):くたびれる
・宗(むね):中心となるもの、主な考え
・兎角(とかく):あれもこれも
・漸漸(ぜんぜん):事が進んでいくさま
・験(しるし):効果、ききめ
・格(かく):格式、規律
意味をまとめてみます。
「当流の針は問診をせずに腹をみて病証を探り、
百日間針をして効果はあっても他流のように
問診でくたびれさせない。
臓腑の居所の「異」のところから病症・生死を明らかにする。
当流の一つひとつの妙について表していくので
心眼で観ていくようにしなさい。」
参考文献:
『鍼道秘訣集』(京都大学附属図書館所蔵)より
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00003559
(掲載画像は該当部分を抜粋)
『弁釈鍼道秘訣集』 緑書房
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。