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腹痛 はらのいたみ
腹痛に九種あり、綿綿として増減なきは寒也。
乍ち痛乍止は熱痛なり。
食するときは腹痛み泄して、
後に、痛減ずるは宿食なり。時に痛み、
時に止み、面白く、唇紅にして、
飢るときは、痛みはなはんだしく、
食するときは、しばらく止まば、虫痛なり。
痛処移らざるは死血なり。
脇下に引きいたみ声あるは、痰飲なり。
手にて腹を按すに軟に痛やはらぐは虚なり。
腹堅く手にて按ときはいよいよいたむは実痛なり。
いづれの腹痛にも、先腹に針灸をすれば、
かへって痛みますものなり、
必ずまづ足の穴に針灸して、
痛み和らぎてのち腹に刺すべし、
尋常のかろき腹痛には、
まづ腹、滑肉門を重く押へて刺すべし。
もし腹痛はなはだしく、目眩き死せんとするには
隠白、湧泉に、針して正気を付くべし。
上脘、中脘、巨闕、不容、天枢、
章門、気海、崑崙、太白、太淵、三陰交。
脇痛 わきいたみ
両脇痛は肝火盛に本(もと)、
気、実するなり、咳嗽していたみ走注し、
痰の声あるは痰なり、
左の脇に塊ありて痛処を移さざるは死血、
右の脇に塊ありて飽悶するは食積なり、
肝積は左に在、肺積は右にあり。
針、日月、京門、腹哀、風市、章門、丘墟、中瀆、期門。
灸、肝兪、絶骨、風市。
腰痛 こしのいたみ
腰は一身の大関、六経の懸かるところ、
太陽腰痛は、項背尻に引きせなか重し。
陽明の腰痛は、左右へかへりみられず強りかなしむ。
少陽の腰痛は針にて皮をさくがごとし
俛仰ならず、太陰の腰痛は、熱して腰に横木あるが如く遺尿す。
少陰の腰痛は、張弓のごとく、黙々として心わるし。
脾に熱たたかふときは、腰痛み、俛仰せられず、腹満て泄す。
腎に邪熱あれば、腰痛み、脛しびれ、舌かはく。
又曰く腰は腎の府、多くは色欲を過し、
腎を労傷すれば、常に腰を痛ましむ。
日軽く夜重きは瘀血なり、
陰雨に遇い久しく坐して発るは湿なり。
腰背重く走注串き痛むは痰なり、
頭痛悪寒発熱するは、風寒による、
腰冷るは中寒なり。
腎兪、膀胱、腰兪、志室、
崑崙、肩井、環跳、陰市、三里、陽輔に針。
委中より血をとるべし。
両腿水の如く冷え腰脇いたむは、尺沢、三陰交、
合谷、陰陵、行間、三里、手の三里。
腰痛動きがたきは風市、委中、行間。
腰背強痛には腰兪、委中、湧泉、小腸兪、膀胱兪。
〜 鍼灸重宝記より
腹痛、脇痛、腰痛を抜粋〜