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こんにちは、大原です。
前回の続きです。
前回までの記事
血(けつ)の化生 その1
血(けつ)の化生 その2
霊枢に出てくる「血」についての記述の続きで
『霊枢』営衛生会篇(第十八)です、
原文と読みをみていきましょう。
(訳は、原文から自分が解釈している部分がありますので
あくまで参考にとどめてください)
黄帝曰、願聞中焦之所出。
(黄帝曰く、願わくば中焦の出づるところを聞かん。)
→中焦はどこがもとになって作用しているのか、聞かせて欲しい。
岐伯荅曰、中焦亦並胃中、出上焦之後。
(岐伯答えて曰く、中焦もまた胃中に並び、上焦の後に出づ。)
→中焦は胃中とならんで、上焦の後にあります。
此所受氣者、泌糟粕、蒸津液、化其精微、上注于肺脉、乃化而為血、以奉生身。
(この受くるところの気は、糟粕を泌し、津液を蒸し、その精微を化し、
上りて肺脈に注ぎ、すなわち化して血と為し、もって身を奉生す。)
→中焦の気は、糟粕を送り出し、津液を温めて循環させ、飲食物を(体内のエネルギーに)変化させ、
上げて肺脈に注いで血に変化し身体を維持させます。
莫貴于此、故獨得行于經隧、命曰營氣.
(これより貴きはなし、故に獨り經隧を行くことを得、なづけて営気と曰う。)
→血よりも貴重な物質はなく、ただ血のみが経脈を流れ、この血の流れる気を営気といいます。
黄帝曰、夫血之與氣、異名同類、何謂也。
(黄帝曰く、それ血と気と、名を異にして類を同じくするとは、何をか謂うや。)
→「血」と「気」とは名前が異なるが、その分類を同じにするというのはどういうことなのか。
岐伯荅曰、營衞者、精氣也。
(岐伯答えて曰く、営衛なる者は、精気なり。)
→営気、衛気とは、精気である。
血者、神氣也。故血之與氣、異名同類焉。
(血なる者は神気なり。故に血と気と、名を異にして類を同じくす。)
→血とは神気である。
ゆえに、これらは名前は異なるが(人体を構成する貴重な物質なので)その分類は同じである。
故奪血者無汗、奪汗者無血。故人生有兩死而無兩生。
(ゆえに血を奪う者は汗なく、汗を奪う者は血なし。故に人の生に両死ありて両生なし。)
→ゆえに血を失えば汗も失われ、汗を失えば血も失われる。
血と汗の両方が有れば生き、無ければ死んでしまう。
中医学の基本書に
「汗血同源」と出てきますが、
この霊枢の記述が根拠ともいえるでしょう。
上記の記述から、
汗と血について分けてまとめてみますと、
・汗(営気・衛気) →精気
・血 →神気
となります。
傷寒論の太陽病中篇にも、
治療で発汗させ過ぎた場合に
陽気が著しく失われる場合についてが
述べられています。
「血」について調べていましたが、
「汗」のことが少し分かってきました。
学校の、東洋医学の教科書では
「血」についての項目では
「血」の記述しかありません。
原文を紐解くと、それに関連した内容があり、
結果、血についての理解が深まるように思います。
参考文献:
『新版 東洋医学概論』 医道の日本社
『黄帝内経 霊枢』 東洋学術出版社
『基礎中医学』 燎原
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。