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こんにちは、大原です。
前回の続きになります。
(前回の記事: 【方剤学】芎帰調血飲)
「芎帰調血飲第一加減のベースは
桃紅四物湯という方剤ではないか」
という話を伺い、これはどういうことなのか
少し調べてみたいと思います。
普通に考えると芎帰調血飲第一加減のベースは
芎帰調血飲と思われます。
そもそも、芎帰調血飲や芎帰調血飲第一加減は
古文書『万病回春』に
その出典とみられる内容があるようです。
みていきましょう。
○芎帰調血飲
産後、一切の諸病、気血虚損、脾胃怯弱、或いは悪露行かず、
或いは血を去ること過多、
或いは飲食節を失い、或いは怒気相沖き、
以て発熱悪寒、自汗、口乾、心煩、喘急、心腹疼痛、
脅肋脹満、頭暈、眼花、耳鳴、口噤して語らず、
昏憒等の症を致すを治す。
当帰、川芎、白朮、白茯苓、熟地黄、陳皮、烏薬、
香附、乾姜、益母草、牡丹皮、甘草。
右刻み一剤。生姜一片。棗一枚。水煎して温服す。
病を看て後に加減す。
中略して、以下、
芎帰調血飲第一加減とみられる記述を
確認していきます。
<芎帰調血飲第一加減>
産後、悪露尽きず、胸腹飽悶、疼痛し、或いは腹中に塊あって、
悪寒発熱するは、悪血あり。
本方に依って桃仁、紅花、肉桂、牛膝、枳穀、木香、玄胡索、童便、姜汁
少し許りを加え、熟地黄を去る。
ここで、「悪露」とは、
産後、胎盤などの子宮内の組織が
血とともに出てくることをいうようです。
これらの記述から、
芎帰調血飲は産後の気血の虚損に用いられ、
芎帰調血飲第一加減は腹中に
血塊、悪血がある場合に用いられるという
違いがあるようです。
さて、桃紅四物湯についてもみてみましょう。
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桃紅四物湯
効能:養血活血・逐瘀
主治:血虚血瘀で、血虚の症候に
月経痛・凝血塊あるいは腹腔内腫瘤・腹痛・腹満などの
血瘀の症状をともなうもの。
四物湯に、遂瘀行血の桃仁、紅花を加えている。
組成:
熟地黄:12g、川芎:6g、白芍12g、当帰12g、桃仁6g、紅花3g。(水煎服)
(『中医臨床のための方剤学』より)
桃紅四物湯は四物湯の附方ですが、
四物湯は補血剤に分類されて補血調血に働き、肝血虚・血滞を主治し、
桃紅四物湯は上記の通り行血の作用が加わっています。
この点は
芎帰調血飲と芎帰調血飲第一加減の関係に
似ているように思います。
すなわち、「芎帰調血飲第一加減は
桃紅四物湯がベースになっている」という話は、
四物湯→桃紅四物湯の附方としての考え方が
ベースになっているということなのでしょう。
参考文献:
『中医臨床のための方剤学』 東洋学術出版社
『万病回春解説』 創元社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。