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この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。



2/22(水)
太陽病中篇より

板書1

板書2

 


(72条)(前回の続きから)
発汗已、脈浮数、煩渇者、五苓散主之。

」には、「すでに終わった、終わってしまったが、」
というようなニュアンスがある。
条文において「すでに発汗したが、表証は残る」
というニュアンスがあると思う。

また、条文では記されていないが、小便不利もあるのだろう。

さて、臨床的に、水邪があるのか瘀血があるのか、
どのように判断するのだろう。
腹診においては臍周や少腹がどのようになっているのかが
分かりやすいと思う。腹證奇覧で五苓散の証では
水分穴や心下に邪があるとされている。
そもそも腹證奇覧が邪として示すものはどのような邪なのだろうか?
(水邪と瘀血の鑑別については、126条の抵当湯証が参考になるだろう)

(73条)
傷寒、汗出而渇者、五苓散主之。
不渇者、茯苓甘草湯主之。

傷寒の病では、本来汗が出ないが、
汗が出て、水を飲みたがる場合には五苓散が主り、
水を飲みたがらない場合は茯苓甘草湯が主るという内容である。

ここでは五苓散と茯苓甘草湯の鑑別について述べられているが、
五苓散の場合は中焦・下焦に水滞があり、
茯苓甘草湯の場合は中焦に水滞があることが大きな違いである。

さらに考察を進めると、方剤の内容から
中・下焦の気が巡らず水滞があり、やや熱(気滞による)を帯びている場合に五苓散を、
中焦の停滞で水飲によって冷えがある場合には茯苓甘草湯を用いる。
ちなみに、脾虚があり、中焦の水邪が心を脅かす場合には67条の茯桂朮甘湯であった。

また、茯苓甘草湯で「不渇」とは、
胃内に水分が停滞していることが原因であると思う。
(参考条文:356条)

五苓散の「」は71条でも出てきたが、
上焦から下焦にかけてのバランスをみると中焦・下焦に水飲があって停滞し、
上焦に津液が届かないために「」がおこる。
茯苓甘草湯は上焦から下焦にかけてのバランスというよりも、中焦の問題である。
このような場合には「」の症状が出ないということだろうか。

(74条)
中風、発熱、六七日不解、而煩、有表裏証、
渇欲飲水、水入則吐者、名曰水逆、五苓散主之。

太陽中風証で発熱し、やや長引いて煩の症状がある場合、
」があって水飲を欲し、水の飲むと上に上がるのは水逆といい、
五苓散が主るという内容である。

太陽病が長引くと少陽病に転化することがあり、嘔吐もみられるが、
この場合は少陽病ではなく、表証で五苓散の証である。
さて、表証で中・下焦に水滞がある場合に、なぜ水逆がおこるのだろうか。

(続く)

 


参加者:下野、新川、大原、盧

 

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