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こんにちは、大原です。
運気論も11回目の連載になりました。
そろそろ大詰めでしょうか!?
いやいや、まだまだ序盤戦との噂も!?
前回までの記事↓
2017年の運気 その1
2017年の運気 その2
2017年の運気 その3
2017年の運気 その4
2017年の運気 その5
2017年の運気 その6
2017年の運気 その7
2017年の運気 その8
2017年の運気 その9
2017年の運気 その10
さて、前回まで、
木運不及の1年とはどのようなものか、
また、木運不及だからといって
その通りにはなるとは限らず、
実際の自然を観察することが重要である、
といった素問の記述を見てきました。
木運がしっかりと充実し巡っているかどうかは、
春の季節の訪れが大きなポイントでしたね!
(忘れた方は、「2017年の運気 その8」の後半を参照ください。)
さて、今回は、客気に注目してみましょう。
2017年は陽明燥金が司天の気ですので、
そのあたりの内容をみていきたいと思います。
素問 五常政大論篇(70)より
・・・(前略)・・・
其歳有不病而蔵気不応不用者、何也。
岐伯曰、天気制之、気有所従也。
帝曰、願卒聞之。
・・・(中略)・・・
陽明司天、燥気下臨、肝気上従、蒼起木用而立、土乃眚。
淒滄数至、木伐草萎、脇痛目赤、掉振鼓慄、筋痿、不能久立。
暴熱至、土乃暑、陽気鬱発、小便変、寒熱如瘧、甚則心痛。
火行於槁、流水不氷、蟄虫乃見。
(読み)
それ歳に病まず蔵気も応ぜず用いざることある者は、何ぞや。
岐伯曰く、天気これを制し、気に従うところあればなり。
帝曰く、願わくば、ことごとくこれを聞かん。
・・・
陽明司天なれば燥気下臨し、肝気は上に従い、
蒼起こり木用(はたら)きて立ち、土すなわち眚あり。
淒滄(せいそう)しばしば至り、木は伐(き)られ草は萎え、
脇は痛み目は赤らみ、掉振(ちょうしん)鼓慄して、筋萎え、久しく立つこと能わず。
暴熱至りて、土すなわち暑く、陽気 鬱発し、小便変じ、
寒熱は瘧のごとく、甚だしければすなわち心痛む。
火は槁(こう)に行り、流水氷らずして、蟄虫(ちっちゅう)すなわち見(あらわ)る。
(意訳)
歳運が太過や不及であると病気になるはずが、
応じずに病気にならないのはどうしてか?
これは天の気が抑制し、また、天気に従っているからである。
・・・
陽明燥金が司天の年は燥気が地に下臨するので、
肝気がこれに応じて天気に従います。
木気が金気に迫られて作用を起こし、土気が災害を被ります。
澄んだ冷たい気がよく現れ、草木が枯れ、
人体では脇が痛み目が充血し、めまい、体のふるえや揺れが起こり、
筋が萎えて長く立っていることができなくなります。
(陽明燥金が司天なら少陰君火が在泉となるので、火気が地面に出現し、)
激しい熱暑が到来し、人体では陽気が内にこもって発病し、小便が異常になり、
おこりのように発熱と悪寒を繰り返し、ひどいときは心臓が痛みます。
火気が草木にめぐり、河川は凍らず、冬ごもりする虫も地上へ現れます。
前半の「天気に従っていると病気にならない」云々のことろは
さらっと書かれていますが、重要な内容だと思います。
陽明が司天の場合、金気が旺盛で、
旺盛な金気に対して
剋される木気がそれに負けまいとするのでしょう。
人体において、木気が旺盛になると
肝気が発動するために、それに関連しているとされる
目や脇、筋といった部位や、木気は風気と関連することから
ふるえや揺れの症状(内風)がおこると
されているのだと思います。
この後、素問の記述は、
このような病に対する治し方について続きます。
参考文献:
『黄帝内経 素問 下巻』 東洋学術出版社
『内経気象学入門』 緑書房
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。