この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。
2/15(水)
太陽病中篇より
(70条)
発汗後、悪寒者、虚故也、不悪寒、但熱者、実也、当和胃気、与調胃承気湯。
(前回の続きから)
「胃気和せず」とは、上篇の最後の条文(29条)にも出てきた。
これは便が堅くなる内実の状態で、
これに対して「胃中和せず」とは
下痢など内虚の状態をいうようである。
(71条)
太陽病、発汗後、大汗出、胃中乾、煩躁、不得眠、欲得飲水者、少少与飲之、令胃気和則愈。
若脈浮、小便不利、微熱、消渇者、五苓散主之。
表証が膀胱の腑を侵し、水飲が停滞している状態である。
五苓散は行気化水の効果があり、
桂枝で陽気を通し、
白朮、茯苓は建脾利水に働き、
猪苓、澤瀉は腎、膀胱に滞った水飲を出す。
さて、条文の通り読んでいくと、これは太陽病に発汗法を行って大汗をかき、
煩燥が表れた場合に、水を少し与えて胃気が和せば癒えるとある。
そして、脉が浮いていて小便が出ず、熱が籠もって喉が渇く場合には
五苓散を用いる。
ここで、大汗が出たあと表証は残っているのだろうか。
脉が浮いているので表証があると読み取れる。
しかし、「発汗後」とあり、表証はとれているとする読み方もある。
(72条)
発汗已、脈浮数、煩渇者、五苓散主之。
「発汗已」とは、発汗を行ったが、表証が残った状態をいうようである。
ここで、脉が洪大で煩渇があれば、白虎湯を用いるようである。
(続く)
参加者:下野、新川、大原、盧