この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。



2/8(水)
太陽病中篇より

板書
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69条
発汗、若下之、病仍不解、煩躁者、茯苓四逆湯主之。

「煩燥」がなぜおこるのか?
発汗や下法によって、陽気や陰液を消耗したことにより、
陰が陽を収めず、陽が陰に入らず、
陰と陽とが分離した状態となっている。
そのため、虚陽が浮き、心を脅かすことで煩燥がおこる。

61条にも「煩燥」があった。
この場合は発汗や下法によって
裏の陽気が傷つき、表の陽気も傷られた状態であり、
陽気の甚だしい虚が
昼間の陽気に乗じられて煩燥が生じていた。そのため夜は煩燥がおこらない。
61条の場合の治法は回陽救逆で、
四逆湯から甘緩の甘草を抜いた乾姜附子湯を用いて
陽気を急激に回復さるということであった。

では本条の場合はどうか。
陰陽ともに虚しているため、昼夜問わず煩燥がおこる。
四逆湯に、茯苓と人参を加えた茯苓四逆湯を用いて
益気生津をはかる。また、湿邪を捌くことによって
心神を安定させる茯苓の働きも重要である。

臓腑弁証では心腎不交、腎陰陽ともに虚と表せると思うが、
方剤の働きでは心や腎に直接アプローチするというよりも、
陽気や津液を補うという目的で
臓腑では脾胃に働きかけている印象がある。

70条
発汗後、悪寒者、虚故也、不悪寒、但熱者、実也、当和胃気、与調胃承気湯。

発汗後に悪寒する場合は虚であるとの内容が
68条にも述べられていた。
少陰病に向かっているので、芍薬甘草附子湯を用いるとあった。
おそらく本条文の場合も同様だろう。

では、本条後半の、ただ熱する場合はどのように考えられるのか。
大きくは、陽証を呈しているということはいえる。
・表証は解けたが、胃に邪がある
・表証が陽明病に移った

おそらくもともと表証だけでなく、
胃気が和していないという条件が
この場合には背景にはあるのではないだろうか。


参加者:下野、新川、大原、盧

 

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