<討論会・座談会の開催お知らせ>
学生さんや鍼灸師を目指す方、
お待ちしてます!!!

【対象者】学生、この業界を目指す方
(※免許を取得し鍼灸師になった方は今回はご遠慮頂いております)

【日時】2017/03/05(日) 15:00~18:00

【費用】一人3,000円

詳しくはこちらの記事をご参照ください。
https://www.1sshindo.com/blog/zenith13539/


カフェで素問を
カフェで素問を

こんにちは、大原です。
前回の続きです。

前回までの記事↓
2017年の運気 その1
2017年の運気 その2
2017年の運気 その3
2017年の運気 その4
2017年の運気 その5
2017年の運気 その6
2017年の運気 その7

素問の気交変大論篇(69)では、
木、火、土、金、水の歳運それぞれにおいて、
太過、不及の場合についての
気候の特徴が記されています。

では、素問の気交変大論篇にある、
2017年(木運不及)に関する記述をみてみましょう。

<気交変大論篇(69)より>
(原文)
歳木不及、燥乃大行、生気失応、草木晩栄。
粛殺而甚、則剛木辟著、悉萎蒼乾、上応太白星。

民病中清、胠脇痛、少腹痛、腸鳴溏泄。
涼雨時至、上応太白星。

其穀蒼。
上臨陽明、生気失政、草木再栄、化気廼急、上応太白鎮星、其主蒼早。

復則炎暑流火、湿性燥、柔脆草木焦槁、下体再生、華実斉化。
病寒熱瘡瘍疿胗癰痤。
上応熒惑太白、其穀白堅。

白露早降、收殺気行、寒雨害物、虫食甘黄。
脾土受邪、赤気後化、心気晩治。
上勝肺金、白気廼屈、其穀不成。咳而鼽。上応熒惑太白星。

(読み)
歳木不及なれば、燥すなわち大いにめぐり、生気 応を失い、草木おくれてしげる。
粛殺にして甚だしければ、すなわち剛木は辟著へきちょし、悉(柔)なるは萎えて蒼乾れ、上に太白星に応ず。

民病めば中え、胠脇は痛み、少腹は痛み、腸鳴りて溏泄す。

涼雨 時として至り、上に太白星に応ず。
その穀は蒼なり。
上に陽明に臨めば、生気は政を失い、草木は再び栄り、化気すなわち急たりて、上に太白・鎮星に応じ、その蒼 早を主る。

復すればすなわち炎暑流火し、湿性なるもかわき、柔脆の草木は焦槁し、下体再び生じて、華実ひとしく化す。
病めば寒熱・瘡瘍・疿胗・癰痤たり。
上に熒惑・太白に応じ、その穀は白堅なり。
白露早く降り、收殺の気行り、寒雨は物を害し、虫は甘黄を食う。
脾土 邪を受け、赤気は後れて化し、心気はおそく治む。
肺金に上勝すれば、白気すなわち屈し、その穀成らず。
咳して鼽す。上に熒惑・太白星に応ず。

以下、意訳していきます。

「木運不及の年では、燥気が強くなり、生気は応答せず、草木は遅い時期に茂ります。
粛殺の気(金気)が甚大であれば、剛木は刑を受けて、柔らかい草木は萎縮して枯れ、
これは天上では太白星(金星)に応じます。

人が病む場合は、身体の中が冷えて、脇や下腹部が痛み、腹部が鳴って下痢になります。
冷たい雨がときどき降り、天上の金星に応じます。
穀物は青いままで成熟しません。
陽明が司天の気になる場合は、(金気が木気を抑制するので)
生気は通常の成長を失い、草木は遅い季節に繁り、その生長の変化は急で、早い時期にしぼみ、
これは天上の金星・土星に応じます。

木気が反発すれば、(これを復気といいます)もの凄く暑くなり、湿気が無くなって乾燥し、
草木は干からびて焦げたようになり、草木の下部が成長してくると花が咲きつつ実がなり、
花と実の両方が見られます。

また、人体においては、寒熱の病・瘡瘍(できもの)・疿胗(かぶれ)・癰痤(はれもの)の症状がみられ、
天上では火星・金星に応じ、穀物は白く堅い、すなわち金の気に属して穂が出ても実りません。
秋の露は早く降り、収斂の気がめぐり、冷たい雨は万物を害し、甘く黄色い食物は虫食いに合うでしょう。

(木気が復すると)人体では脾臓・土気が邪気の害を受け、火気が後に起こるので心臓の気も後に治ります。
心気が肺気に勝つぐらい火気が金気を抑制すると、穀物は成熟しなくなることからも、
咳や鼻づまりの症状がおこります。
これは、天上では金星と火星に応じます。

さて、鋭い方はおわかりだと思いますが、
2017年は陽明燥金が司天の気でしたね。
上の記述の中に、「もし陽明燥金が司天なら・・・」とあり、
今年に関して、非常に重要な内容が記されていると思います。

以下、木不及に関する内容を抜粋していきます。

(原文)
願聞其時也。
岐伯曰、悉哉問也。
木不及、春有鳴条律暢之化、則秋有霧露清涼之政。

春有慘凄残賊之勝、則夏有炎暑燔爍之復。
其眚東、其蔵肝、其病内舍胠脇、外在関節。

(読み)
願わくばその時を聞かん。
岐伯曰く、つまびらかなるかな問うや。
木不及は、春に鳴条律暢の化あれば、すなわち秋に霧露清涼の政あり。
春に慘凄残賊の勝あれば、すなわち夏に炎暑燔爍の復あり。
そのせいは東、その蔵は肝、その病は内には胠脇に舍り、外には関節に在り。

(意訳)
「五運とその時期についての関係を教えてください。
岐伯がいう。これは詳細な質問です。
木運が不及の場合、もし春に正常な季節の変化があれば、
秋にも霧や露が清涼な潤いをもたらす正常な気候になります。
しかし、春に慘凄残賊の勝、すなわち木気が抑えつけられることによる異常気象があれば、
夏は炎暑となり、抑えつけられた木気が復されます。
その災いは、方角では東に起こり、臓腑では肝臓に、内側では脇に宿り、外側には関節に現れます。

以上をまとめますと、
木気不及、かつ、司天の気が陽明燥金の2017年は、
草木の成長が正常かどうかが非常に重要で、
もうそろそろ花をつけても良い頃であるはずの草木が
いまだに成長が遅い場合は、
木気不及の歳運の流れを汲んでしまっている可能性が高いのかも知れません。

また、春の気候が正常でしたら
一年を通して平穏な気候となることが予想できますが、
もし春に異常気象が見られれば、夏は炎暑になるという記述があるように
夏以降の気候も気を付けた方が良いかも知れません。

次回に続きます。


参考文献:
『黄帝内経 素問 下巻』 東洋学術出版社
『内経気象学入門』 緑書房

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here