この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。



12/28(水)
太陽病中篇より

 


(64条)発汗過多、其人叉手自冒心、心下悸、欲得按者、桂枝甘草湯主之。

発汗法を用いて治療を行った後に、
自分の腕を交叉して胸に手を当て、
動悸がし、手を当てて欲しいような状態のときは
桂枝甘草湯を用いるべきであるとする内容である。

症状からすると、
これは発汗によって心気や心陽を損傷してしまったことが窺える。
桂枝甘草湯は、桂枝が心陽を補い、甘草が中焦を建て、
この2薬のみで構成されているシンプルな方剤である。

条文を注意深く見てみると、
心下悸」とあり、心悸とは異なる。
「心下」とは心の下、すなわち上焦と中焦の間で動悸がするということである。
心気の虛だけでなく、脾胃の虚も大きく関与していることが読み取れる。
心と脾の両方が虛し、相対的に心の虛が大きいという考え方もある。
また、心というよりも胸中の陽気を損傷したとする見方もある。

さらに、心よりも脾胃の虚が主であるとする考察もある。
五臓の母子関係では、心が脾の母であり、
この二つの臓が虛した場合には
脾気虚証であるとする見方もあることから
説得力のある考察ではないだろうか。


参加者:下野、新川、大原、盧

 

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