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こんにちは、大原です。

2017年も1ヶ月を経過し、
暦の大寒(1月20日)を過ぎました。
大寒を過ぎてすぐに
大阪では珍しく雪が2、3日続きましたね。

2017年の運気はどのようなものかを
具体的に早く考察していくためにも、
記事の内容をペースUPしていきたいと思います。
今回は少しややこしい話が出てきて長くなりますが、
どうかお付き合いください。

前回までの記事で、2017年一年間の
主運、客運、主気、客気がそれぞれ分かりました。

前回までの記事↓
2017年の運気 その1
2017年の運気 その2
2017年の運気 その3
2017年の運気 その4
2017年の運気 その5

さて、前回の復習ですが、
十二支のそれぞれに対応する司天の気をまとめました。
後で出てきますのでもう一度掲載します。↓

<十二支と司天の気の対応関係>
子:少陰君火(二陰)
丑:太陰湿土(三陰)
寅:少陽相火(一陽)
卯:陽明燥金(二陽)
辰:太陽寒水(三陽)
巳:厥陰風木(一陰)
午:少陰君火(二陰)
未:太陰湿土(三陰)
申:少陽相火(一陽)
酉:陽明燥金(二陽)
戌:太陽寒水(三陽)
亥:厥陰風木(一陰)

さて、運気論では、今までみてきたように
「運」である歳運(中運、大運)と
「気」である司天の気とを
重要視します。

この「運」と「気」の関係において、
「運」と「気」のそれぞれ属性が同じになる場合を、
特別な意味合いがあると考えます。

その関係をみていくために、
上にまとめた「十二支と『司天の気』の関係」だけでなく、
もう一つ「十二支の五行属性」というものを
考えておく必要があります。

その「十二支の五行属性」の項目を加えたものを
まとめたものが下の表です。

表:十二支それぞれの司天の気、五行属性

十二支 司天の気 十二支の五行属性(歳支)
少陰君火(二陰)
太陰湿土(三陰)
少陽相火(一陽)
陽明燥金(二陽)
太陽寒水(三陽)
厥陰風木(一陰)
少陰君火(二陰)
太陰湿土(三陰)
少陽相火(一陽)
陽明燥金(二陽)
太陽寒水(三陽)
厥陰風木(一陰)

 

十二支にはそれぞれ方位が定められ、
方角ごとに以下の五行属性が決まっています。
北:水
東:木
南:火
西:金 
中央(それぞれの方位と方位の間):土

この方位と五行の関係は
「十二支月建五行所属図」という図に記されています。

十二支月建五行所属図
十二支月建五行所属図

さて、
十二支の、司天の気と五行属性をまとめたところで、
ここから「運」と「気」の関係について
具体的に述べていきたいと思います。

十干は文字通り10種類、
十二支も文字通り12種類ありますので、
十干と十二支との組合せで
60通りの運気のパターンが存在することになります。
(10と12の公倍数は60ですね。)
60年で一周することから、
人が60歳になると還暦かんれきといいます。

また、「運」も「気」も
今までみてきたように
どちらも木・火・土・金・水(五行)のいずれかに属します。
すなわち、五運六気の「運」と「気」の関係において、
相生関係や相克関係などが成立することになります。

例えば、干支が丁(ひのと)で、十二支が卯(う)の1年を考えます。
丁(ひのと)の歳運は「木運不及」ですので
五行属性は「木」となります。
(このように、十干から歳運を求めることを「十干化運」といいます。)

また、卯(う)の司天の気は「陽明燥金」ですので、
五行属性は「金」となります。
(このように、十二支から司天の気を求めることを「十二支化気」といいます。)

ここで、五行の「木」と「金」は、
金が木を剋す関係にあります。
すなわち、気である「金」が
運である「木」を剋すことになります。
そのため、この丁卯の1年は
「運」ではなく「気」が1年を主ると考えます。

この丁卯の年のように、
「気」が「運」を剋して「気」が1年を主る状況を「天刑」といいます。
五行には、この相剋関係だけでなく、
「水は木を生じる」といった相生関係や、
運と気が同じ場合の関係もあります。
そのため、運気論における「運」と「気」の相生・相剋関係は
以下の5種類があると記されています。

順化:「気」が「運」を生じる。六気を主として、五運は参考。
天刑:「気」が「運」に勝つ。六気を主として、五運は参考。
小逆:「運」が「気」を生じる。五運を主として、六気は参考。
不和:「運」が「気」に勝つ。五運を主として、六気は参考。
天符:「運」と「気」が同じ。両者を結合して考察。

単純な相生・相剋関係だけでなく
属性が同じ場合が述べられているというところが、
何か重要な意味合いがあるように感じます。

(ちなみに、
歳運が太過で司天の気によって剋されるパターンと、
歳運が不及で司天の気によって補われるパターンが
それぞれ6パターンずつあり、
さらに歳運が歳支の気によって補われるパターンが3つあり、
これらの合計15パターンはバランスのとれた平気の年といいます。
最後の「歳支」については後述します。)

さて、「運」と「気」とが同じ属性である場合について、
運気論ではさらに展開されていっています。

まず、先程述べた、
運と気とが同じ場合、言い換えると
歳運と司天の気の五行属性が同じ場合「天符」といいました。
これに加え、
歳運と歳支(十二支の方位)の五行属性が同じ場合で、かつ、
その方位が正方位の場合歳会さいえ
といい、
歳会でもあり天符でもある場合太乙天符たいいつてんぷと言います。
「太乙天符」は、歳運と司天の気と歳支の3つが同じであることから
三合さんごう」と呼ばれます。

二つ目の「歳会さいえ」の中の「歳支」について説明すると、
歳支とは十二支の方位をいい、例えば、
十二支の「子」は「北」であるとするものです。
(北の方位は五行では「水」となり、ここで上の表の3列目が生きてきます!)
ただし、二つ目の条件として、
その方位が「正方位」であるとあります。
この正方位に相当するのは、以下のパターンのみです。

子:北→水
丑:北と東の間 →土
卯:東 →木
辰:東と南の間 →土
午:南 →火
未:南と西の間 →土
酉:西 → 金
戌:西と北の間 →土

 

この正方位のパターンで、
歳運と歳支の属性が合致する(すなわち歳会の年となる)のは
・丙子 (水)
・己丑 (土)
・丁卯 (木)
・申辰 (土)
・戌午 (火)
・己未 (土)
・乙酉 (金)

・申戌 (土)

の8パターンとなります。
この8パターンの中で己丑、戌午、己未、乙酉の4つは
天符ともなり、すなわちこれらが太乙天符の年となります。
そのため、歳会の年はそれ以外の、
丙子、丁卯、申辰、申戌の4つとなります。

その他にも年干と年支とがともにに属し、
歳運と在泉の気が同じものを「同天符」といい、
その他にも年干と年支とがともにに属し、
歳運と在泉の気が同じものを「同歳会」といいます。

さて、なぜこのように、天符歳会太乙天符などを
考える必要があるのでしょうか?

素問の記述の中に
天符の場合、病は急速に進み危険である」、
歳会の場合、病の勢いは緩やかで病は持続する」、
太乙天符は、発病は急激ですぐに死ぬだろう」
とあり、運気によって発病の状況や病の勢いが決まると
されているためです。
私のイメージですが、おそらく1年の五行の属性に
偏りが生じるためでしょう。

ちなみに2017年は丁酉で、
歳運は木運不及(木)、司天の気は陽明燥金(金、歳支も金)ですので、
天符や歳会には相当しません。
金が木を剋することから、
気が1年を主る「天刑」の年といえます。

・・・長くなりましたが
ここまで読んで頂きありがとうございました。
今回はここで一旦休憩です。
個人的には歳会の「歳支」や「正方位」という辺りが
難しく感じましたので
その内容を詳しく書かせて頂きました。

続きます。


参考文献:
『黄帝内経 素問 下巻』 東洋学術出版社
『内経気象学入門』 緑書房

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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