この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。



12/14(水)
太陽病中篇より

2

1

(57条)
傷寒、発汗解、半日許復煩、脈浮数者、可更発汗、宜桂枝湯主之。
傷寒にかかって発汗法を用い、半日ばかりして「煩」の症状が出て脉が浮数の場合、
まだ表邪が残っていて、かつ発汗法によって津液が減少しているとみて、
麻黄湯ではなく桂枝湯を用いて再度発汗させるのが良いという内容である。

(58条)
凡病、若発汗、若吐、若下、若亡血、若亡津液、陰陽自和者、必自愈。
傷寒に限らずだいたいの病は、
もし発汗法、吐法、下法を用いて、
血や津液が甚だしく減少しても、
陰陽が和すれば何も治療をしなくても
勝手に治るという内容である。
この「陰陽が和すれば」とは具体的に何か、
おそらく脉や営衛、表裏、寒熱など、様々なものを包括するのだろう。
また、あえて抽象的に書かれているのは、
ここまでの内容の総括のような意味合いや、
次からの条文に繋がっていくように意図されているのかも知れない。

(59条)
大下之後、復発汗、小便不利者、亡津液故也、勿治之、得小便利、必自愈。
(60条)
下之後、復発汗、必振寒、脈微細、所以然者、以内外倶虚故也。
(61条)
下之後、復発汗、昼日煩躁不得眠、夜而安静、
不嘔、不渇、無表証、脈沈微、身無大熱者、乾薑附子湯主之。

59条〜61条は、下法のあと発汗法を用いた場合についてである。
59条はこのような治療の後に、津液不足がもたらされ、小便不利となり、
この場合は治療を行わず、津液が回復して小便が出れば自然に治るということである。

60条では治療後に「必振寒、脈微細」とあり、
これは表裏の陽気が虚していることを示す。
また、281条に少陰病の脈状などが書かれているが、
これは少陰病の陽虚を示していると思われる。

61条では治療後に、
昼日煩躁不得眠、夜而安静」となっている。
不嘔、不渇、無表証、脈沈微、身無大熱者」とあることから、
少陽病ではなく、陽明病ではなく、太陽病ではないことを示し、かつ脉から
裏虛があることを示している。

夜間は安静であるが、
昼間に煩躁して眠れないとはどういうことなのか。
これは裏の陽気が不足していると考えられる。
相対的に陰気が盛んとなり、
少ない陽気を外に追い出そうとする陽虚陰盛の証を
呈しているのではないだろうか。
昼間は外界の陽気が盛んであり、体内の少ない陽気とともに
盛んな陰気に対抗しようとする。
そのために煩躁や不眠の症状が現れると思われる。
煩躁は陽の病であると思うが、これは真寒仮熱であると解釈できる。
陽気の衰弱が甚だしいことが窺える。  


条文の意図を探る
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参加者:下野、新川、大原、盧


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