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こんにちは、為沢です。
張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。
今回の傷寒論は弁厥陰病脈証并治 三百五十五章。
この章では、胸中に邪が結して厥冷した場合の証治について
詳しく述べております。
・病人手足厥冷、脉乍緊者、邪結在胸中、心下滿而煩
厥冷は虚実に分けられる。緊脈は実脈である。
そして突然緊脈を示せば、実邪が結集したことを表す。
胸中に邪が集まったことにより、胸陽は伸びやかに巡ることができず、
上焦に邪実が居座り、気機壅滞して陰陽の交流が為されないのである。
これにより外では四肢厥冷が起き、内では心下満而煩が出現している。
・饑不能食者、病在胸中、當須吐之、宜瓜蔕散
病は胸中にあり、胃には影響していないが、脾は影響を受けるために
飢餓感はあるが食べられないのである。
瓜蒂散を与え、その病勢に従って実邪を除いていけばよい。
瓜蒂散
こちらを参照→【古医書】傷寒論: 弁太陽病脈証并治(下)百六十六章・百六十七章
提要:
胸中に邪が結して厥冷した場合の証治について。
『現代語訳 宋本傷寒論』訳を使用:
患者の手足は厥冷し、脈象が突然に変化するなら、
胸中に痰濁が停滞堆積していることを表す。
心下部が膨満してイライラし、空腹を感じるが食べられない場合は、
病邪は胸中に在るので、治療には必ず吐法を用いねばならず、瓜蒂散が適当である。
瓜蒂 赤小豆
右の二味を、それぞれ等量ずつ、別々に搗いて篩にかけて
合わせて臼の中に入れ、さらによく混合する。
別に用意した香豉一合を、七合の熱湯で、煮て稀い粥状にして、
滓を除き、この汁と前に作った散の一寸匕とをよく混ぜて、
温かいうちに頓服する。服用して嘔吐がおこらなければ、
少しずつ増量し、嘔吐してすっきりしたら服用をやめる。
亡血や正気が虚した状態の患者には、瓜蒂散を与えてはならない。
参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』 績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社
生薬イメージ画像:為沢 画
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
為沢