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こんにちは、大原です。
前回に続いて9条からみていきます。
9条では浮脈が何を表すのか、
10条と11条では
それぞれ「厥陽」と「卒厥」という言葉について
述べられています。
ちなにみ「厥」とは、気が本来の流れから逸脱して
あらゆる症状を呈するものをいい、
気の流れが逆流すると称されることが多いので
「厥逆」ともいいます。
それでは原文と意訳を記していきます。
臓腑経絡先後病脈証(第1)
(9条)
師曰、病人脉浮者在前、其病在表、
浮者在後、其病在裏、腰痛背強不能行、必短氣而極也。
(10条)
問曰、經云、厥陽獨行何謂也。
師曰、此為有陽無陰、故稱厥陽。
(11条)
問曰、寸脉沈大而滑、沈則為實、滑則為氣、實氣相搏、
血氣入臟即死、入腑即愈、此為卒厥。何謂也。
師曰、脣口青、身冷、為入臟即死、如身和、汗自出、為入腑則愈。
(9条)
師曰、病人脉浮者在前、其病在表、
(師曰く、病人脈浮、前に在る者、その病表に在り、)
→病人の浮脈について、前(寸位)にある場合は病が表にあり、
浮者在後、其病在裏、腰痛背強不能行、必短氣而極也。
(浮後に在る者、その病裏に在り、
腰痛み背強ばり行くあたわざるは、必ず短気して極まるなり。)
→後(尺位)にある場合は病が裏にあり、
この場合、(腎気の衰えや肺気が弱っているので)
腰が痛くなり背中が強ばり呼吸が短くなります。
(10条)
問曰、經云、厥陽獨行何謂也。
(問いて曰く、経に言う、厥陽独行とは何の謂ぞや。)
→「厥陽」すなわち陽が独りめぐるとはどういう意味ですか?
師曰、此為有陽無陰、故稱厥陽。
(師曰く、これ陽ありて陰なしとなすが、ゆえに厥陽と称す。)
→(陰陽のバランスを崩してしまい)
陽だけがあって陰が無い状態を厥陽といいます。
(11条)
問曰、寸脉沈大而滑、沈則為實、滑則為氣、實氣相搏、
(問いて曰く、寸脈沈大にして滑、沈はすなわち実たり、滑はすなわち気たり、実気相搏ち、)
→寸口部の脈が沈・大で滑は、気血がともに旺盛(上に衝き上げる状態)であることをあらわします。
血氣入臟即死、入腑即愈、此為卒厥、何謂也。
(血気臓に入ればすなわち死し、腑に入れば即ち愈ゆ、これ卒厥となすは、何の謂ぞや。)
→このような旺盛な血気が臓に入れば予後不良であり、腑に入れば病は癒えます。
このような状態を「卒厥」といいますが、具体的にはどのように判断するのでしょうか?
師曰、脣口青、身冷、為入臟即死、
(師曰、唇口青く、身冷ゆるは、臓に入るとなしすなわち死す、)
→(循環障害で)唇が青く体が冷えていたら、
邪実となった旺盛な気血が深く臓に入り込んでいるので予後不良であり、
如身和、汗自出、為入腑則愈。
(身和すを知り、汗自から出ずれば、腑に入るとなしすなわち愈ゆ。)
→逆に体が温かくかすかに汗をかいていれば邪は浅く腑にあるので治すことができます。
人の身体を診させていただくときに、
臓腑弁証や正邪弁証など、
いろいろな弁証方法や診方、考察、視点がありますが、
その原点ともいえる陰陽の平衡を保つことの重要性について
これらの条文を読んで考えさせられました。
続きます。
参考文献:
『金匱要略も読もう』 東洋学術出版社
『傷寒雑病論』 東洋学術出版社
『鍼灸医学事典』 医道の日本社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。