【週2日程度の研修生募集中】
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11月上旬、急に寒くなった日の近くの公園にて
11月上旬、急に寒くなった日の近くの公園にて

こんにちは、大原です。

金匱要略を学んでいきたいと思います。
金匱要略の第1篇は「臓腑経絡先後病脈証」と第され、
臓腑病の大まかな概要について述べられています。
そのはじめの条文を意訳とともに
みてみましょう。

臓腑経絡先後病脈証(第1)

(1条)
問曰、上工治未病、何也。
(問いて曰く、上工は未病を治す、なんぞや。)
→上工、すなわち名医は、未病を治すというが、どういうことでしょうか?

師曰、夫治未病者、見肝之病、知肝傳脾、當先実脾。
(未病を治すとは、肝の病を見て肝は脾に伝わるを知り、まさに先に脾を実すべし。)
→例えば肝の病である場合、
五蔵の肝と脾は密接な関係があるので、肝の病では肝だけでなく脾にも着目すべき。
(この場合は、脾気を高めるべしとしている。)

四季脾王不受邪、即勿補之。
四季脾さかんなれば邪を受けず、すなわち之を補するなかれ。)
→脾気が亢進する季節の変わり目などは、脾は邪を受けないので、脾気を高める必要がない。

中工不暁相傳、見肝之病、不解実脾、惟治肝也。
(中工は相伝うるをさとらず、肝の病を見て脾を実すを解さず、ただ肝を治すなり。

→中工(名医ではない医者)は、肝の病をみて肝を治すだけである。

夫肝之病、補用酸、助用焦苦、益用甘味之薬調之。
(肝の病は、補うに酸を用い、助くに焦苦を補い、すに甘味の薬を用いて之を調う。)
→肝の病で、肝気を補うには酸味、助けるには焦苦の味、増すには甘味を用いて調える。

酸入肝、焦苦入心、甘入脾。
(酸は肝に入り、焦苦は心に入り、甘は脾に入る。)

脾能傷腎、腎氣微弱、則水不行。
(脾はよく腎を傷り、腎気微弱なれば、すなわち水めぐらず)
→五行・五臓の相剋関係から述べられたもので、
脾気(土)は腎気(水)をやぶる。つまり、脾気を高めると腎気を抑える。

水不行、則心火氣盛。
(水がめぐらなければ、すなわち心火の気は盛んとなる。)
→同じく五行・五臓の関係で、腎気(水)は心気(火)を抑えるが、
腎気がめぐらなければ心火は亢盛となる。

心火氣盛則傷肺。
(心火の気が盛んになれば、すなわち肺を傷る。)
→同じく五行・五臓の関係から、心気(火)は肺気(気)を抑える関係にあり、
心火が強すぎると肺気を傷る。

肺被傷、則金氣不行。
(肺が傷られれば、すなわち金気めぐらず。

金氣不行、則肝氣盛、則肝自愈。
(金気がめぐらなければ、すなわち肝気が盛んにして、すなわち肝自ずから癒える。)
→同じく五行・五臓の関係から、肺気(金)は肝気(木)を抑えるが、
肺気がめぐらなければ肝気は抑えられず亢進する。

此治肝補脾之要妙也。
(これ肝を治すに脾を補うの妙なり。)
→肝気が不足した場合には、上記のように、
不足した肝気を高めるために、脾気を補うと
五臓がめぐりめぐって結果的に肝気を高めることができる。

肝虚則用此法。
(肝虚すればすなわちこの法を用いる。)

実則不在用之。
(実なればすなわちこれを用いるにあらず。)
→ただし、肝気が不足しているのではなく高ぶり過ぎている場合には
この方法を用いてはならない。

経曰、虚虚実実、補不足損有餘、是其義也。
(経に曰く、虚を虚し実を実すと、不足を補い有余を損すが、これその義なり。)
→虚実をとらえ、虚には補法を、実には瀉法を用いるということが重要である。

餘蔵準此。
(余臟これに準ず。)
→他の蔵にもこれと同じように考える。

以上となります。
五行・五臓の相剋関係によって肝気を高めるということですが、
五臓全体をしっかりと考えることが大事だということを
記したかったのだと思います。

ちなみに、相剋関係で、肝気が高まると脾気は抑えられます
そうすると、
治療において、高めた脾気が抑えられることをみて、
不足していた肝気が高まるなどの
五臓全体のバランスが調ったことを
うかがい知ることができるということになります。
新しい疑問が浮かんできます。

続きます。


参考文献:
『金匱要略も読もう』 東洋学術出版社
『傷寒雑病論』 東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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