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京都のとある河にて
京都のとある河にて しだれ柳が綺麗です

こんにちは、大原です。

前回までの記事はこちら↓
和法とは その1
和法とは その2
和法とは その3
和法とは その4

前回の記事では、
半表半裏・少陽と関わりの深い
「膜原(募原)」について、
半表半裏の熱邪を開鬱させる
達原飲たつげんいん達原散たつげんさん)という方剤を考察してみました。

では、今回は「膜原(募原)」の記載が出てくる
素問の瘧論篇ぎゃくろんへん(第三十五)の記述をみてみましょう。

この瘧論篇では冒頭に
「瘧(おこり:悪寒・発熱の症状が交互に起こり、
日ごとにその間隔が遅くなったり早くなったりする)」の症状が
どのようにして起こるのか、
そのメカニズムについて述べられています。
その続きから、意訳とともに
原文の一部を抜粋します。

・・・
其作日宴与其日早者、何氣使然.
岐伯曰、
邪氣客於風府、循膂而下.
(邪気は風府穴から入って背骨に沿って下ります)

衛氣一日一夜大会於風府.其明日日下一節.
(衛気は一日で風府穴に戻りますが、邪気は一日おきに背骨を一節下ります)

故其作也晏.此先客於、脊背也.
毎至於風府、則腠理開.腠理開、則邪氣入、邪氣入則病作.
以此日作稍益晏也.
(邪気が下るため、発作の間隔が日ごとに遅くなります。)

其出於風府、日下一節、二十五日下至骶骨、
二十六日入於脊内、注於伏膂之脉、
(下った邪気は25日で尾底骨に達し、
26日でまた背骨に入って伏膂之脉に注ぎ、)

其氣上行、九日出於缺盆之中.
(その気によって上行し、9日で缺盆(首の付け根あたりの経穴)に達します。)

其氣日高.故作日益早也.
(邪気が日ごとに上昇するため、発作の感覚は早くなります。)

其間日發者、由邪氣内薄於五藏、
(また、日を隔てて発作が現れるのは、邪気が体内で五臓に迫り、)

横連募原也、
(横に膜原と連なり、)

其道遠、其氣深、其行遅、不能与衛氣倶行、不得皆出.
(その道は遠く、気は深く、巡行は遅く、そのため衛気の巡行と一緒にはならないので、)

故間日乃作也.
(日を隔てて発作が起こるのです。)
・・・

上記から「膜原」に関する部分についてまとめると、
邪が体内で五臓に迫ったり、
横に膜原と連なったりすると、
その場所は体内でも遠く深い場所であるため
気の流れが衛気の早さに比べて遅いので
症状の出るタイミングが遅くなる。
ということになると思います。

「膜原」とは何か、
直接的な表現はありませんが、
この内容だけでも
膜原とは深い場所にある、
五臓と近い場所にある、ということが分かると思います。

前回の記事で、達原飲の効能から
膜原は少陽や半表半裏の中でも深い場所にあると
まとめましたが、
この素問の記述からもそのように窺えますね。

続きます。


参考文献:
『中医臨床のための方剤学』
『黄帝内経  素問  中巻』
『中医病因病機学』 東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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