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きれいな池です。
きれいな池ですね。

こんにちは、大原です。

前回までの記事はこちら↓
和法とは その1
和法とは その2
和法とは その3

少陽や半表半裏、和解剤(和法)について調べていると
膜原(募原)」(まくげん、または、ばくげん)という
キーワードが出てきます。
半表半裏や少陽と関わりがあり、
存在する場所も近いとする記述が
あらゆる中医学の基礎の本などに見受けられます。

さて、この膜原(募原)という用語ですが、
素問の瘧論篇(第三十五)、
また、明の時代の「温疫論」(うんえきろん)という
古医書に記されているようです。

「温疫論」では、
風、暑、湿、燥、寒という
人体を侵襲する外邪の他に、
人体を脅かす「温疫」というものが
存在するという認識に基づいたもので、
これは今でいうインフルエンザなど
流感に相当するのでは、という説があります。
そのような「温疫」が
膜原」という場所を侵すとあるようです。

さて、この温疫の邪が膜原を侵した場合、
どのような症状があらわれ、
またどのような方剤を用いるのでしょうか。
膜原が湿熱疫邪に侵された場合の
有名な方剤として「達原飲(達原散)」という
方剤があるようですので、これをみていきます。

達原飲たつげんいん>(達原散たつげんさん
組成:檳榔子びんろうじ6g、厚朴3g、草果そうか1.5g、知母3g、白芍3g、黄芩3g、甘草1.5g
効能:開達膜原・闢穢へきえ化濁(穢れを開くという意味だそうです)
主治:湿熱伏在膜原(膜原に伏在した湿濁疫邪を開達して除く)
方意:厚朴、草果、檳榔子が主薬で、辛開苦降によって
開欝燥湿・行気破結する。(鬱した燥湿を開き、結した気をめぐらす)

また、
厚朴→除湿散漫・降気化痰

草果→辛香闢穢で伏邪を宣透
 檳榔子→攻下破結
これら3薬が共同して膜原に到達し邪を開達させる。
さらに、黄芩で清熱燥湿、知母で清熱滋陰、白芍で斂陰和血は
湿熱の化燥傷陰を芒刺し、辛温の薬味の弊害を抑制する。
甘草は諸薬の調和をし、
全体として膜原を開達して駆邪外出し、祛邪して正気を損傷せず
和解法の範疇に入る。
とあります。(『中医臨床のための方剤学』より)

和法とは その2」の記事の中で、
小柴胡湯という方剤について述べましたが、
その方意の記述と比較すると
今回の達原飲では
邪が伏す」や「邪を開く」という表現などが多くあることから
より邪の潜む場所が深いものに対して用いるように感じます。

すなわち膜原という場所は少陽の中でもやや深い場所にあり、
そこに湿熱の邪が潜んでいる場合に
達原飲を用いるということだと思います。
では「少陽の中の深い場所」とはどこでしょうか、
おそらく、表と裏を分けるギリギリの
境界線のようなところなのでしょうか。
そのような少陽の深い場所を侵すのが
疫邪の性質なのかも知れません。

・・・分かったような分からないような感じですね。

続きます。


参考文献:
『中医臨床のための方剤学』
『黄帝内経  素問  上巻』
『中医病因病機学』 東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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