こんにちは、大原です。
前回の続きです。
(前回の記事 → 和法とは その1)
前回は、和法というのは
治法の中でも特殊ではないか、という話でした。
さて、和法に用いられる方剤で有名なのが
小柴胡湯という和解剤ですが、
その組成と方意などをみていきましょう。
<小柴胡湯> 『中医臨床のための方剤学』より
組成:柴胡15g、黄芩9g、人参6g、半夏9g、炙甘草6g、生姜9g、大棗4g
主治:少陽半表半裏証
方意:少陽枢機を通達して達邪外解する。
また、小柴胡湯を構成する各単薬の作用は
以下のようです。
柴胡(主薬である。少陽の専薬、軽清昇散により少陽の気機を通達し、疏邪外達する。)
黄芩(少陽の鬱熱および鬱変した胆火を清する。)
半夏・生姜(辛温で和胃降逆・消結散痞し、黄芩とともに辛開苦降に働く。)
人参(益気に働き、扶正によって散邪を助ける)
大棗・炙甘草・生姜(中焦を振奮し衛気を宣発、邪が裏に入るのを防止する。)
→全体として、祛邪を主とし正気にも配慮して胃気を和す。
さて、上記の主治にもありますように、
小柴胡湯は少陽、半表半裏にある邪を除き、
少陽枢機を通すということが大きな働きのようです。
ここで、半表半裏、少陽枢機という用語が
出てきました。
これが「和法」を解明するキーワードのようです。
少陽枢機、半表半裏にある邪を除くために、
柴胡を主とし、その他の薬味では、
胆火を清し、停滞した気機や痞などを動かしながら
脾胃の力もしっかりと
上げるようにしていることが分かります。
また、祛邪としては
半夏・生姜などの「辛開苦降」という表現にもあるように
やや奥に入り込んだ邪に対するもののようです。
このことから、
半表半裏、少陽枢機という場所は
脾胃(中焦)の弱りがみられる場合に
気滞や痞といった邪が入り込む、
やや奥の方にある場所とイメージできます。
言い換えると、正気が充実している場合には
邪が入り込まない、または
邪が入り込んだままにならないところともいえます。
小柴胡湯の方意からすると
このような、正気の虚があることで
やや奥に入り込んだ邪を、
取り除くものが和法であるといえると思います。
扶正と祛邪の両方の薬味によって、
邪の停滞しているやや奥の場所を開いていき、
邪をとりつつ正気を通すということになると思います。
・・・例えると、
頑丈な普通の家でしたら
台風の強い雨風もしのげますが、
家が古くなって壁などが傷んでくると(正気の虚ができると)
ちょっと強めの風でもギシギシと鳴ったり
雨天で雨漏りして
家の中にも被害が及ぶ(邪が入り込む)ようなものでしょうか。
この場合、家の中の溜まった雨水を掃除し(祛邪)、
さらに、壁や天井を補強(扶正)しないといけません。
続きます。
参考文献:
『中医臨床のための方剤学』
『中医臨床のための中薬学』 東洋学術出版社
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