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白芥子
白芥子

張仲景の古医書『傷寒論しょうかんろん』の解説です。

今回の傷寒論は弁厥陰病脈証并治 三百三十九章。
この章では、熱厥証が治癒する転機と、進行する転機について
詳しく述べております。


三百三十九章

傷寒熱少微厥、指頭寒、
默默不欲食、煩躁、數日小便利、色白者、
此熱除也、欲得食、其病爲愈。
若厥而嘔、胸脇煩滿者、其後必便血。

和訓:
傷寒熱少なく微かに厥し、指頭寒え、嘿嘿として食を欲せず、
煩躁し、数日して小便利し、色白きものは、此れ熱除くなり。
食を得んと欲すれば、其の病愈ゆと為す。
若し厥して嘔し、胸脇煩満するものは、其の後必ず便血す。


傷寒熱少微厥、指頭寒、默默不欲食、煩躁
熱厥証の外症は厥冷だが、内症は発熱である。
そして発熱の程度が激しければ、厥冷もまた激しい。
「少微厥」少し発熱して手足がわずかに冷えるとは、
指先だけ少し冷たいということである。
裏に鬱熱があり、気機に影響を与えれば
黙り込んで食欲が無くなる。
さらに鬱熱が激しくなれば、
裏証は表に影響を与えて煩躁するのである。

數日小便利、色白者、
此熱除也、欲得食、其病爲愈

数日後、仮に小便がよく出て、色が透明であれば
裏の鬱熱は已に除かれて気機が回復したことを示すので、
四肢厥冷は治り、食欲も回復する。

若厥而嘔、胸脇煩滿者、其後必便血
逆に、四肢厥冷に加えて胸脇満、心煩、多嘔が出現すれば
熱邪が内に深く侵入し、熱厥が甚だしくなったのである。
これは陰絡を傷つけて、必ず血便を生じさせる。

提要:
熱厥証が治癒する転機と、進行する転機について。

『現代語訳 宋本傷寒論』訳を使用:
傷寒に罹り、発熱は軽く手足の逆冷もかすかで、
ただ指尖のみが冷たく、気分が沈鬱で食事をしたがらず、
イライラして不穏で、数日たってやっと小便が出て、
その尿の色が稀い場合、熱邪はすでに除かれている。
患者は食事をしたがるようであれば、
この病はやがて愈えるはずだ。
もし四肢の逆冷と嘔吐があり、胸脇部が膨満して苦しければ
その後必ず血便が出るはずだ。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』  績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社

生薬イメージ画像:為沢 画

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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