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こんにちは、大原です。
前回の続きです。
(前回の記事はこちら → 桂枝湯の芍薬 その1)
今回は、まず桂枝去芍薬湯がどのように用いられるかを
条文からみていきます。
<桂枝去芍薬湯の代表的な条文>
「太陽病、これを下して後、脈促、胸満のものは、
桂枝去芍薬湯これを主る」(第21条)
(訳:太陽病に対して、
発汗法ではなく誤って下法を用いた後に、
脈が促(早い脈)で、胸が張って苦しい場合は、
桂枝去芍薬湯を用います。)
「下法」とは、腸胃に停留している
宿食・実熱・冷積・瘀血・痰結・水飲などを
排泄して病を取り除く方法で、
陽明病に対する基本的な治法とされ、
太陽病に用いるのは誤りだとされています。
「脈促で胸が張って苦しい」とは、
下法によって表邪が胸部に落ち込むことで
このような症状がおこるとされています。
さて、桂枝去芍薬湯の組成と
単味ごとの働きを簡単にみてみましょう。
<桂枝去芍薬湯の組成>
・桂枝9g(通陽散寒→外邪を発散する)
・炙甘草6g(諸薬の調和)
・生姜9g(発散を強め、胃気を下降させる)
・大棗6g(滋営)
また、芍薬は
・白芍(益陰斂営など)
という働きでした。
ここで一つ問題として、
なぜ桂枝湯から芍薬を除くのでしょうか?
人体の成分を大きく陰陽でとらえた場合、
陰液と陽気に分かれますが、
桂枝湯証の場合、営陰すなわち陰液の漏れがあり、
(これを営衛不和と言いました。)
白芍の入った桂枝湯で
営陰を補いながら表邪を発散させました。
今回の桂枝去芍薬湯証で問題となっているのは
表から胸部に内陥した邪であり、
芍薬が入っていると、
その邪が発散されないということでしょう。
すなわち、白芍の働きは、
営陰を補う作用があるとされていますが、
より深く考えてみると、
裏にある陰液の漏れを食い止める作用が
白芍の重要な働きだといえると思います。
(この、漏れ出ているものを
ぎゅっと食い止めるような働きを
収斂作用ともいいます。)
臨床において、桂枝湯証の病が変化して
邪が内陥している可能性のある方に、
陰液の漏れを食い止める必要があるのか、
それとも食い止めずに発散させるべきかの判断が
重要だと思いました。
(参考記事→桂枝去芍薬湯:https://www.1sshindo.com/blog/zenith11786/)
参考文献:
『傷寒雑病論』
『中医臨床のための方剤学』
『中医臨床のための中薬学』 東洋学術出版社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。