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こんにちは、大原です。
傷寒論の太陽病上篇で、
桂枝湯と桂枝去芍薬湯という二つの方剤がでてきます。
桂枝去芍薬湯とは、
桂枝湯から芍薬を除いたもので、
その他の組成は同じものです。
この二つの方剤の用いられる状況を
傷寒論の条文から確認していきましょう。
<桂枝湯の代表的な条文>
「太陽病、発熱し、汗出で、悪風し、脈緩のものは、
名づけて中風となす。」(第2条)
「太陽の中風、陽浮にして陰弱、陽浮のものは、
熱自ずと出づ、嗇嗇と悪寒し、
淅淅と悪風し、翕翕と発熱し、鼻鳴り乾嘔するものは、
桂枝湯これを主る。」(第12条)
「太陽病、頭痛、発熱し、汗出で、悪風するものは
桂枝湯これを主る。」(第13条)
・・・などが代表的な条文になります。
(『中医臨床のための方剤学』より)
これらから、
桂枝湯を用いるのは「営衛不和」の場合である、
とよく言いますが、
ここでの営衛不和とは
外邪が弱った衛気を破り、
内側にある営陰が漏れ出した状態を言います。
治法の考え方としては、
この漏れ出した営陰を止めるために
表面の衛気をしっかりとさせることはもちろんですが、
漏れ出てしまった営陰を
補う必要があるとされています。
営陰を補い、衛気がしっかりとした結果、
表を侵した外邪が正気に負けて(発散されて)
体外に汗として出ていくとされています。
(ここでの汗はしっとりとしたもので、
かかせ過ぎは良くないとされています。)
さて、ここで桂枝湯の組成と
単味ごとの働きを簡単にみてみましょう。
<桂枝湯の組成>
・桂枝9g(通陽散寒→外邪を発散する)
・白芍9g(益陰斂営→営陰の漏れを止める)
・炙甘草6g(諸薬の調和)
・生姜9g(発散を強め、胃気を下降させる)
・大棗6g(滋営して白芍を助ける)
このように、衛気を強めることで
表邪を発散させながら、
内側である営陰を
芍薬が補っていることが分かります。
傷寒論の太陽病上篇は
カゼの初期症状について述べられていると
言われていますが、
「表証」すなわち病が浅い状態について
述べられていることから、
その治法も浅い部分だけに着目しがちです。
ですが、営衛不和の意味や、
白芍の働きを考えると、
表だけでなく裏にも働きかけていることが分かります。
では、この裏に働きかける白芍を取り除いた
「桂枝去芍薬湯」とはどのような状態で
用いられるのでしょうか?
これらを比較することで、
より営衛不和、すなわち営気・営陰の意味や
それに関係する症状などが
理解しやすくなってくると思います。
続きます。
参考文献:
『傷寒雑病論』
『中医臨床のための方剤学』
『中医臨床のための中薬学』 東洋学術出版社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。