この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。


太陽病上篇より

8/17(水)

板書

26条の内容は、
前回まで(23条・25条との比較)に学んだように、
桂枝湯を服用後、
気虚による大汗、さらに大汗による口渇(津液の損傷)がみられ、
治法としては補気、生津となる。

この場合、白虎湯(清熱生津)に人参(益気)を加えた
白虎加人参湯を用いるとされている。

この白虎加人参湯は
168条や169条など、
太陽病が陽明病に移っていく場合について
記されている「太陽病下篇」の中でも
用いられている方剤である。
ちなみに169条では、症状の一つとして「微寒」とあるが、
これは津液不足によって陽気の損傷がもたらされたことによる。

26条では症状に「寒」の内容が書かれてはいないが、
気虚が進むと「微寒」になり得るのではないだろうか。

傷寒論で重要なのは、条文にある症状ごとに
どの方剤を用いるのかということではなく、
症状から病位を弁別することである。

方剤学の書籍などを読んでいくと、
方剤と症状とを逐一覚えていくことが重要であるように思うが、
傷寒論は病位の浅いものから深いものへと
編纂されていることから、
繰り返しになるが
一つひとつの方剤を暗記することよりも
病位の状態を弁別していくことが大切である。
おそらくあらゆる方剤は、基本的な方剤を加減したものであり、
それは基本処方における病位・弁証から
応用して作られたものである。

26条にある大汗や大煩渇は、
気虚や津液不足がおこっていることを理解することが重要である。

最後に、
症状から病位を弁別することが重要であるなら、
同じ方剤を用いる他の条文も一緒に学んでいった方が
より立体的・多面的に病位をとらえることが
できるのではないだろうか。

26条
服桂枝湯、大汗出後、大煩渇不解、脈洪大者、白虎加人参湯主之。

参加者:下野、新川、本多、大原、小堀


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