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下野です。
今回は『薬性の歌』の記事になります。
もう残りも少しとなってき、
この後には『薬性の歌』で紹介した薬が
どの病に用いるかを記した内容が待っています。
では記事に参ります。
【原文】
琥珀味甘、安魂定魄、破瘀消癥、利水通塞。
血竭味鹹、跌撲傷損、悪毒瘡癰、破血有準。
硫黃性熱、掃除疥瘡、壮陽逐冷、寒邪敢富。
竜脳味辛、目痛喉痺、狂躁妄語、真為良剤。
芦薈気寒、殺蟲消疳、癲癇驚搐、服之立安。
<第四十四に続く>
【解説】
琥珀は味甘。
魂魄を安定させる。
血瘀の腫瘍を消し、水邪の閉塞を通す。
血竭は味鹹。
打撲の損傷を治し、
悪毒、癰に用いる。
瘀血を散らす。
硫黄は熱。
疥瘡を治す。
冷を去って陽気を助け、
寒邪を捌くににとても有効である。
竜脳は味辛。
目痛、喉痺、狂躁、妄語に。
真に良剤である。
芦薈は寒。
虫積や栄養不良を治し
癲癇や驚搐に。
之を服すと、たちどころに宜し。
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◉琥珀
古代のカエデ、マツなどの樹脂が、
長期間地層に埋没して化石化したもの。
性味:甘・平
帰経:心・肝・肺・膀胱
効能:
①鎮驚安神
・心神不寧の動悸や不眠、不安感に。
方剤例 → 琥珀定志丸・琥珀多寐丸。
・癇癪、驚きや恐れ、小児驚風に。
方剤例 → 琥珀抱竜丸・琥珀寿星丸。
②行気散瘀
・血瘀気滞の無月経や腹腔内腫瘤に。
方剤例 → 琥珀散。
③利水通淋
・膀胱湿熱の排尿痛や排尿困難、血尿に。
方剤例 → 琥珀散。
◉血竭
ヤシ科キリンケツヤシの分泌する樹脂を固めたもの。
性味:甘・鹹・平
帰経:心・肝
効能:
①活血散瘀・止痛
・打撲や骨折の腫れや痛みに。
方剤例 → 七厘散・麒麟血散。
・瘀血の月経痛や無月経、産後の腹痛に。
方剤例 → 和血通経湯。
②止血斂瘡生肌
・外傷の出血や鼻血、歯茎の出血に。
・皮膚化膿症や外傷の傷口が治らないときに。
方剤例 → 生肌散。
◉硫黃
硫黄鉱、硫化鉱物から精錬したもの。
性味:酸・温・有毒
帰経:腎・心包・大腸
効能:
①殺虫医瘡・止痒
・頑癬などに。
方剤例 → 硫黄散・硫黄膏・妙貼散。
・疥癬、湿疹の痒みに。
②温寒通便
・虚寒の便秘に。
方剤例 → 半硫丸。
③助陽益火
・腎陽虚の膝や腰の冷え、勃起不全、頻尿などに。
・腎陽虚の腎不納気による呼吸困難に。
方剤例 → 黒錫丹。
◉竜脳
フタバガキ科リュウノウジュの樹脂を加工したもの。
現在は化学合成品が主である。
性味:辛・苦・微寒
帰経:心・脾・肝
効能:
①開竅醒神
・脳血管障害の意識障害や高熱の意識障害に。
方剤例 → 安宮牛黄丸・至宝丸・醒脳丹・平安散。
②清熱止痛・防腐消腫・生肌
・喉の腫れや痛み、口内炎に。
方剤例 → 冰硼散。
・皮膚化膿症に。
方剤例 → 冰朱蓖麻膏。
・皮膚化膿症がつぶれたが、傷口が治らないものに。
方剤例 → 生肌散。
③明目退翳
・風火の目の充血や腫れ、痛み、角膜の混濁に。
方剤例 → 八宝眼薬・抜雲散。
◉芦薈
通称アロエ。
ユリ科アロエの液汁。
性味:苦・寒
帰経:心・肝・胃・大腸
効能:
①瀉熱通便
・熱結便秘に頭のふらつき、目の充血、不眠などに。
方剤例 → 更衣丸。
・習慣性便秘で胃熱を呈すとき。
②凉肝除煩
・肝胆実火の頭痛やめまい、耳鳴り、怒りなどに。
方剤例 → 当帰竜薈丸。
③殺虫療疳
・虫積の腹痛や栄養不良に。
方剤例 → 芦薈丸。
・白癬症やむし歯に。
<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『中医病因病機学』 東洋学術出版社
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下野