この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。


太陽病上篇より

8/10(水)

板書1

板書2

(前回のつづき)
前回の記事はこちら
【水曜勉強会 傷寒論 その18】25条

25条の冒頭部分で、
なぜ桂枝湯を用いた後に「大汗」「脈洪大」という
状態が現れるのかについて
前回の復習を兼ねて再考した。

①「大汗」について
太陽中風証に対して桂枝湯を用いると、
本来ならじわっとにじむような汗をかくことになると思うが、
なぜ大汗がでてしまうのか。
可能性として、通常の桂枝湯証と比較すると
・表にある風邪が強い(多い)
・正気の損傷が強い
・実熱が存在していることによる津液の損傷がある
が考えられる。

②「脈洪大」について
洪大脈は熱が盛んであることを表す。
その熱は、虚熱によるものか、実熱によるものか。

①②とも、25条の条文だけでは
どの考え方が正しいのか判断がつかない。
26条には「大煩渇」とあり、
25条と比較すると
26条は実熱による症状が書かれているように見受けられる。
すなわち、今回の25条は
虚熱についての記述であるとも読み取れる。

さて、臨床的に、この条文を
どのようにいかすことができるのであろうか。

風邪をひいたときの症状だけでは
どのような状態かの判別は難しいが、
汗の有無によって
太陽中風証かそうでないかを判断しやすいが、
問診だけでは分からないこともある。
また、汗をかいたということを伺っても
葛根湯などの風邪薬を飲んでいる場合もある。

ちなみに葛根湯はカゼの初期に服用する方が多いが、
誤って用いると、
表から奧に向かって邪が入り混んでしまう印象がある。
葛根湯については、31条、32条に記述があり、また学んでいく。

汗をかいて、正気の損傷が大きく、
かつ、寒熱の症状がある(表邪が残る)場合に、
正気を補いつつ、表邪を追い出すように
治療を行うことが必要である。

<25条 原文>
服桂枝湯、大汗出、脈洪大者、与桂枝湯、如前法。
若形似瘧、一日再発者、汗出必解、宜桂枝二麻黄一湯。

26条
服桂枝湯、大汗出後、大煩渇不解、脈洪大者、白虎加人参湯主之。

参加者:下野、新川、本多、大原、小堀


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