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こんにちは、大原です。
前回、前々回、
五臓が弱る「虚労」に対する方剤
「大黄䗪虫丸」や「秦艽鼈甲散」
について述べました。
※前回までの記事はこちら↓
【方剤学】大黄䗪虫丸
【方剤学】秦艽鼈甲散 (虚労 その2)
今回も虚労に対する方剤をみていきます。
〜中医臨床のための方剤学より〜
【滋陰降火湯(じいんこうかとう)】
(前回の記事の秦艽鼈甲散と同じく)清熱剤の中の、
虚熱を清する「清虚熱剤」に分類される。
効能:滋陰降火
組成:炙甘草1.5g、当帰4g、白芍7g、生地黄2.5g、
熟地黄・天門冬・麦門冬・白朮 各3g、
陳皮・黄柏・知母 各2g。
生姜・大棗と水煎服用する。
主治:肺腎陰虚・火旺による乾咳・少痰・盗汗・潮熱など
方意:
①天門冬・麦門冬・生地黄→滋補肺腎
②知母・黄柏→清熱瀉火
→①②により滋陰降火する。
③当帰・白芍・熟地黄→補血養陰
④白朮・炙甘草・大棗・生姜・陳皮→健脾和胃
→③④により生化の源を補充することにより滋陰を補佐する。
(火旺が甚だしいときは辛燥の陳皮・生姜は除くべきである。)
さて、この滋陰降火湯は、
「万病回春」という古文書が出典のようです。
「万病回春解説」によると、
滋陰降火湯は
陰虚火動、発熱、咳嗽、吐痰、喘急、盗汗、口乾くを治す。
この方と六味地黄丸と、合い兼ねて之を服す。
大いに虚労を補い、神効あり。
とあります。
(〜万病回春 巻之四 「虚労」より〜)
「虚労」という言葉が
ここで用いられていますが、
この滋陰降火湯の解説の前に
虚労についての解説がありますので
みてみましょう。
脈 骨蒸、労熱、脈数にして虚、熱して濇小なるは、
必ず其の軀を殞とす。
汗を加え、嗽を加うるは、薬を除くべきにあらず。
虚怯の症は、皆、元気不足による。
心腎虧くることあり、あるいは気血を労傷し、
あるいは酒色過度にして、
漸く真陰虧損するに至り、相火随って旺す。
火、旺するときは真陰銷爍して嗽をなし、
喘をなし、痰をなし、熱をなし、吐血、衂血ををなし、盗汗、遺精をなし、
上盛んに下虚するをなす。・・・(以下続く)
(〜万病回春 巻之四 「虚労」の冒頭より〜)
この記述からすると
元気や真陰という、
生命の原動力ともいわれる陰性の気が
損なわれてしまうことが
虚労の原因である
とあります。
そのため、
補陰剤である「六味地黄丸」を
兼ねて(一緒に)服すと
神効がある(よく効く)ということなのですね。
参考文献:
『万病回春解説』 創元社
『入門 金匱要略』 南山堂
『中医臨床のための方剤学』 東洋学術出版社
『中医臨床のための中薬学』 東洋学術出版社
『鍼灸医学事典』 医道の日本社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。