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こんにちは、北野です。
今日は肝胆弁証の続きを書いていきたいと思います。
≪7≫寒滞肝脈証
寒邪が肝脈を襲えば、気血が寒邪のために凝滞して渋り、経脈が収引する。
気血が凝滞して渋れば気血の循環が悪くなり、
経脈が収引すれば経脈はひどく引きつれて、気血が滞り、
少腹から睾丸にかけての牽引痛などの病変を生じる。
【臨床所見】
少腹部の冷痛(睾丸に放散)、陰嚢の収縮・疼痛。
寒冷刺激により症状は増悪、温めると緩解する。
舌苔白滑、脈沈弦あるいは遅。
【証候分析】
①少腹部の冷痛(睾丸に放散):
足厥陰肝経は外陰部、少腹部に流注している。
寒邪が肝経に侵襲し、陽気が阻害され、
気血の運行が悪くなると、この症状がおこる。
②陰嚢の収縮・疼痛:
寒には吸引させる特性があるので筋脈が拘急しておこる。
③疼痛:
寒は気血を滞らせ、熱は気血の流れを回復する。
したがって寒冷刺激により疼痛は増悪し、温めれば緩解する。
④舌苔白滑:
陰寒内象の象である。
⑤脈象:
沈脈は裏証を、弦脈は肝病を表している。
また遅脈は寒証を表している。
【治 療】
治 法:暖肝散寒
治療穴:足厥陰肝経、足少陽経、任脈、督脈経穴を主に取る。
手 法:多くは灸法を用いる。灸頭針も可。
≪8≫胆鬱痰擾証
胆は肝に付属し、胆汁を貯蔵している。
外邪が足少陽経に侵入したり、情志が鬱滞して肝気不泄となれば、
胆気鬱阻となり、それが長引くことで熱に変化し火を生じ、
胆熱という病理変化を形成する。
【臨床所見】
驚悸、不眠、煩躁、口苦、悪心、嘔吐、胸悶、
脇脹、頭暈、目眩、耳鳴り、舌苔黄膩、脈弦滑。
【証候分析】
①驚悸、不眠、煩躁:
情志の失調により胆の疏泄が失して、気機が鬱滞し、
痰と火を生ずれば、この痰火が内擾するため胆気が
不安定となってこのような症状が現れる。
②口苦:
胆熱によりおこる。
③悪心、嘔吐:
胆熱が胃に影響し、胃気が上逆しておこる。
④胸悶、脇脹:
胆気が鬱滞しておこる。
⑤頭暈、目眩、耳鳴り:
痰熱が循経上擾しておこる。
⑥舌苔黄膩、脈弦滑:
痰熱内蘊の象である。
【治 療】
治 法:利胆化痰清熱
治療穴:足少陽経穴、本腑の兪募穴を主に取る。
手 法:針にて瀉法を施す。
以上、肝胆弁証の寒滞肝脈証と胆鬱痰擾証に
ついて書かせて頂きました。
北野
参考文献:
『針灸学基礎編』東洋学術出版社
『中医病因病機学』東洋学術出版社
『中医診断学ノート』東洋学術出版社