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こんにちは北野です。
今日は前回に続き肝胆弁証の肝風内動証について
書いていきたいと思います。
≪6≫肝風内動証
肝の失調により内風を生じ眩暈、痙攣、
ふるえなどの「動揺」を特徴とする症状が現れるものを、
肝風内動証という。
これには肝陽化風、熱極生風、陰虚動風、血虚生風などがある。
この内陰虚動風は肝陰虚を、血虚動風は肝血虚を基本病証として、
動揺の症状が出現したものである。
ここでは肝陽化風証と熱極生風証を説明する。
1・肝陽化風証
もともと陰虚で肝陽が高ぶりやすい人が、
たまたま情志刺激を受けたり、働き過ぎたりすれば、
火が起きて風を発生させる。
すると、火と風とが煽動しあって燃え上がり、
気血がこれとともに逆上し、ついには上盛下虚という病理を招く。
【臨床所見】
眩暈、頭部がゆれる、頭痛、項部の強ばり、
手足のふるえ、しびれ、ろれつがまわらない、
まっすぐに歩けない、突然昏倒する、人事不省となる、
顔面神経麻痺、片麻痺、舌強、喉に痰鳴がする、
舌質紅、舌苔白あるいは膩、脈弦有力。
【証候分析】
①眩暈、頭部が揺れる:
平素から肝腎の陰が不足している場合は、肝陽をうまく抑制できない。
そのため肝陽が妄動して内風を生じ、肝風となって頭部や目に影響すると、
これらの症状が現れる。
②頭痛:
気血が肝陽、内風とともに上逆し、頭部の絡脈に阻滞しておこる。
③項部の強ばり、手足のふるえ:
風動によりおこる。
④ろれつがまわらない:
足厥陰肝経は舌本を絡っているが、肝陽、
内風が絡脈に影響することによりこの症状が現れる。
⑤手足のしびれ:
肝腎陰虚のため、筋脈が滋養されないとおこる。
⑥まっすぐに歩けない:
上部で風動がおこり、下部で陰分が不足し、
上盛下虚となるとおこる。
⑦突然昏倒、人事不省:
肝陽と内風が急激に昇って気血が逆乱し、
肝風に痰がからんで清竅を、蒙閉するためにおこる。
⑧片麻痺、顔面神経麻痺:
風痰が脈絡に影響し、
患側の気血の運行が悪くなり筋が弛緩するためにおこる。
⑨舌の強ばり:
痰が舌根に阻滞しておこる。
⑩喉の痰鳴:
痰が風とともに昇っておこる。
⑪舌象:
舌質紅は陰虚、白苔は邪気がまだ化火していないことを表している。
また膩苔は、痰によるものである。
⑫脈弦有力:
肝風と内風が、擾動する現れである。
【治療】
治法:平肝熄風通絡
治療穴:足少陰経、足厥陰経、足少陽経、足陽明経穴を主に取る。
手法:針にて補瀉兼施。
2・熱極生風証
外感した湿熱の邪が気分から営血に伝われば、
邪熱が燃え上がって肝陰を焼く。
すると筋膜は栄養を得ることができないので拘急収引し、
ついには熱極生風という病変を招く。
【臨床所見】
高熱、意識不明、手足の痙攣、頭項部の強直。
ひどい場合は角弓反張、両眼上視、牙関緊急などがおこる。
舌質紅あるいは絳、脈弦数。
【証候分析】
①高熱:
熱邪が強いため。
②意識障害:
熱が心包に伝わり、心神に影響しておこる。
③手足の痙攣、頸項部の強直、角弓反張、両眼上視、牙関緊急:
熱の勢いが強く肝経に影響して肝風を誘発し、
そのため筋脈が攣急しておこる。
④舌質紅絳:
熱が営血に入っている現れである。
⑤脈弦数:肝経火熱の象。
【治療】
治法:清熱熄風
治療穴:督脈、足厥陰経、手陽明経穴を主に取る。
手法:針にて瀉法を施す。灸法は用いない。
以上、肝風内動証の肝陽化風証と熱極生風証について
書かせて頂きました。
参考文献:
『針灸学基礎編』東洋学術出版社
『中医病因病機学』東洋学術出版社
『中医診断学ノート』東洋学術出版社