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こんにちは、大原です。
最近、ある書籍の中で
「大黄䗪虫丸」という方剤を知りました。
これは「中医臨床のための方剤学」という書籍の中で
以下のように分類されます。
~中医臨床のための方剤学より〜
【大黄䗪虫丸】
理血薬のうちの活血化瘀剤のひとつとして分類される。
効能:袪瘀生新・緩中補虚
主治:虚労乾血
この方剤についての記載が
金匱要略という古文書の中に出てきます。
<金匱要略>
〜血痺虚労病脈証併治(第六)20条 より〜
五労虚極羸痩、
腹満不能飲食、
食傷、憂傷、飲傷、
房室傷、飢傷、
労傷、経絡営衛気傷、
内有乾血、肌膚甲錯、両目黯黒、
緩中補虚、大黄䗪虫丸主之。
読み:
五労にて、虚極まり羸痩(著しい痩せのこと)し、
腹満して食飲する能わず、
食傷、憂傷、飲傷、
房室傷、飢傷、労傷、経絡栄衛気傷、
内に乾血有りて、肌膚甲錯し両目黯黒なれば、
中を緩め、虚を補う大黄䗪虫丸之を主る。
五労とは、五臓の労、すなわち
心労、肝労、脾労、肺労、腎労をいいます。
この虚が極まった状態を「虚労」と称して、
中医学の辞典などに載っています。
その「虚労」の病の症状としては、
痩せてお腹だけが膨らみ、瘀血があって皮膚がカサカサする、
視覚障害などが現れるとあります。
虚が極まることで、
流れるものも流れず、
血が滞って瘀血を形成してしまうことが
病因であるようです。
五労すなわち五臓すべてが虚の場合、
そして瘀血が形成されている場合、
どのように治法を求めるか、
この条文では大黄䗪虫丸
という方剤が用いられていますが、
その方意を確認していきましょう。
~中医臨床のための方剤学より〜
組成と方意:
大黄30g、黄芩6g、甘草9g、桃仁・杏仁各6g、白芍12g、
生地黄30g、乾漆3g、虻虫・水蛭・臍螬各6g、䗪虫3g
虚労により瘀血が生じ、瘀血を除かなければ新血が生成されない。
袪瘀を主体に扶正を補助する。
大黄・䗪虫・桃仁・乾漆・臍螬・水蛭・虻虫は
瘀血を攻逐して活血通絡に、
大黄は瀉下で瘀血下行の途をひらき、
黄芩は大黄とともに瘀熱を清し、
杏仁は宣肺降気により活血を補助する。
養血滋陰の生地黄、白芍は濡潤補虚(虚を補い、乾きを潤す)し、
甘草は和中補虚(虚を補い、中気(脾胃の気)を和す)・
調和諸薬(それぞれの単薬を調和させる)に働く。
全体で袪瘀血・清瘀熱・滋陰血潤燥の効能が得られる。
このように、
瘀血や熱を取り去る目的の生薬が多く、
正気を補うものは少ないことが分かります。
先日、難病である白血病について調査しているときに
この方剤を知ることになりました。
白血病だからこの方剤という訳ではありませんが、
お身体の状態などから弁別した際に
この方剤が使われることもあるということが分かり
大変勉強になりました。
参考文献:
『入門 金匱要略』南山堂
『中医臨床家のための方剤学』 東洋学術出版社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
大黄シャチュウ丸が良い薬だなと思います、どこで買えますでしょうか?
渡辺東洋さま
コメント頂きありがとうございます。
大黄䗪虫丸ですが、
私も購入したことがありませんので何とも言えませんが、
ネットで検索してみると
中国のお店がAMAZONで販売しているようですので
購入できるかも知れません。
ただ、服薬にあたりましては
アレルギーなどで体質に合わない場合もあるかと思いますので、
事前に医師や薬剤師さんに相談された方が良いと思います。