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休日の夕方(南海の駅のホームにて)
休日の夕方(7月中旬 ひっそりとした駅のホームにて) 
生温かい風が、なぜか心地良く感じました。


こんにちは、大原です。

最近、ある書籍の中で
大黄䗪虫丸だいおうしゃちゅうがん」という方剤を知りました。
これは「中医臨床のための方剤学」という書籍の中で
以下のように分類されます。

中医臨床のための方剤学より〜
【大黄䗪虫丸】だいおうしゃちゅうがん
理血薬のうちの活血化瘀剤のひとつとして分類される。
効能:袪瘀生新きょおしんせい緩中補虚かんちゅうほきょ
主治:虚労乾血きょろうかんけつ

この方剤についての記載が
金匱要略きんきようりゃくという古文書の中に出てきます。

金匱要略きんきようりゃく
〜血痺虚労病脈証併治けつひきょろうびょうみゃくしょうへいじ(第六)20条 より〜

五労虚極羸痩、
腹満不能飲食、
食傷、憂傷、飲傷、
房室傷、飢傷、
労傷、経絡営衛気傷、
内有乾血、肌膚甲錯、両目黯黒、
緩中補虚、大黄䗪虫丸主之。

読み:
五労にて、虚極まり羸痩るいそう(著しい痩せのこと)し、
腹満して食飲するあたわず、
食傷しょくしょう憂傷ゆしょう飲傷いんしょう
房室傷ぼうしつしょう飢傷きしょう労傷ろうしょう経絡栄衛気傷けいらくえいえきしょう
内に乾血有りて、肌膚きふ甲錯こうさくし両目黯黒あんこくなれば、
中を緩め、虚を補う大黄䗪虫丸 だいおうしゃちゅうがん)之を主る。

五労とは、五臓の労、すなわち
心労、肝労、脾労、肺労、腎労をいいます。

この虚が極まった状態を「虚労きょろう」と称して、
中医学の辞典などに載っています。
その「虚労」の病の症状としては、
痩せてお腹だけが膨らみ、瘀血があって皮膚がカサカサする、
視覚障害などが現れるとあります。

虚が極まることで、
流れるものも流れず、
血が滞って瘀血を形成してしまうことが
病因であるようです。

五労すなわち五臓すべてが虚の場合、
そして瘀血が形成されている場合、
どのように治法を求めるか、
この条文では大黄䗪虫丸
という方剤が用いられていますが、
その方意を確認していきましょう。

中医臨床のための方剤学より〜
組成と方意:

大黄だいおう30g、黄芩おうごん6g、甘草かんぞう9g、桃仁とうにん杏仁きょうにん各6g、白芍はくしゃく12g、
生地黄しょうじおう30g、乾漆かんしつ3g、虻虫ぼうちゅう水蛭すいてつ臍螬せいそう各6g、䗪虫しゃちゅう3g

虚労により瘀血が生じ、瘀血を除かなければ新血が生成されない。
袪瘀を主体に扶正を補助する。
大黄・䗪虫・桃仁・乾漆・臍螬・水蛭・虻虫は
瘀血を攻逐して活血通絡に、
大黄は瀉下で瘀血下行の途をひらき、
黄芩は大黄とともに瘀熱を清し、
杏仁は宣肺降気により活血を補助する。

養血滋陰の生地黄、白芍は濡潤補虚(虚を補い、乾きを潤す)し、
甘草は和中補虚(虚を補い、中気(脾胃の気)を和す)・
調和諸薬(それぞれの単薬を調和させる)に働く。
全体で袪瘀血・清瘀熱・滋陰血潤燥の効能が得られる。

このように、
瘀血や熱を取り去る目的の生薬が多く、
正気を補うものは少ないことが分かります。

先日、難病である白血病について調査しているときに
この方剤を知ることになりました。
白血病だからこの方剤という訳ではありませんが、
お身体の状態などから弁別した際に
この方剤が使われることもあるということが分かり
大変勉強になりました。


参考文献:
『入門 金匱要略』南山堂
『中医臨床家のための方剤学』 東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

2 コメント

    • 渡辺東洋さま
      コメント頂きありがとうございます。
      大黄䗪虫丸ですが、
      私も購入したことがありませんので何とも言えませんが、
      ネットで検索してみると
      中国のお店がAMAZONで販売しているようですので
      購入できるかも知れません。

      ただ、服薬にあたりましては
      アレルギーなどで体質に合わない場合もあるかと思いますので、
      事前に医師や薬剤師さんに相談された方が良いと思います。

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