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こんにちは北野です。
今日は新たに肝胆弁証について書いていきたいと思います。

肝胆弁証かんたんべんしょう
肝の病証には、虚証と実証のものがある。
虚証には肝陰不足、肝血不足が多くみられる。
一方、実証には気鬱きうつ、火盛および寒邪や湿熱の侵犯によりおこるものが多い。

肝病の常見症状…胸脇、少腹部の脹痛、放散痛、煩躁はんそう、易怒、
頭暈、四肢のふるえ、手足の痙攣けいれん、目疾、月経不順、睾丸脹痛など

胆病の常見症状…口苦、黄疸、驚悸きょうき、不眠など

≪1≫肝気鬱結かんきうっけつ
肝気の条達疏泄機能に支障を生じた状態で、原因として情志の失調や過労、
外邪の浸入によっておこり、気鬱や気滞などの気機失調がおこる病理変化である。

【臨床所見】
胸脇あるいは少腹部の脹痛、放散痛、胸悶きょうもん
よくため息をつく、精神抑鬱、易怒えきど、脈弦。
梅核気、頸部癭瘤ようりゅう癥塊ちょうかい。婦人では乳房の脹痛、
痛経、月経不順、閉経などが現れることがある。

【証候分析】
①胸脇、乳房、少腹部の脹痛、放散痛:
肝は疏泄そせつを主っており、条達を喜ぶ。
精神抑鬱や精神的刺激により肝気が鬱結うっけつし、
経気がスムーズに流れなくなると、肝気の流注している
部位に脹痛と放散痛がおこりやすくなる

②精神抑鬱:
肝の疏泄機能は情志を調節している。
気機が鬱結して条達、疏泄が失調すると精神抑鬱が生じる。

③イライラ、易怒:
情志抑鬱のため、肝の柔順でのびやかな性質が失調しておこる

④梅核気、癭瘤:
気が長期にわたって鬱しているために痰を生じ、
痰が気に随って循経上逆し、咽喉部に結すると梅核気となる。
またこれが頸項部に積聚しゃくじゅすると癭瘤となる。

⑤癥塊:
気機の状態が長期にわたって解さず、
気と血が結すると癥塊が生じる。

⑥月経不順、経行時の腹痛、閉経:
肝の疏泄機能が低下すると月経が遅れがちとなる。
また気鬱が長びくと、気の病が血に波及し、
気滞血瘀きたいけつお、衝任不調となり、これらの症状がおこる。

⑦弦脈:肝病の現れである。

【治 療】
治法:疏肝理気解鬱そかんりきかいうつ
治療穴:足厥陰経、足少陽経穴、本臓の兪募穴を主に取る。
手法:針にて平補平瀉法を施す。灸法も可。

≪2≫肝火上炎証

感情の抑鬱や怒りから肝を損傷し、
肝気鬱が火に変化し、気と火が上逆し様々な症状をおこす病理変化である。

【臨床所見】

頭暈づうん、頭部の脹痛、面紅、目赤、口苦、口乾
イライラ、易怒、不眠、悪夢を見る、胸脇部の灼熱痛、
便秘、尿黄、耳鳴り、舌質紅、舌苔黄、脈弦数。

【証候分析】
①頭暈、頭部の脹痛、面紅、目赤:
情志の失調により肝鬱化火となり、肝火が頭部や目に上攻しておこる

②口苦:
肝熱が表裏の関係にある胆に伝わると胆熱が口苦を生じる

③口乾:
火熱により津が損傷しておこる。

④イライラ、易怒:
肝の条達、柔順の特性が失調しておこる。

⑤不眠、悪夢:
火熱が内擾ないじょうし、心神に影響しておこる

⑥胸脇部の灼熱痛:
肝火のために気血が肝絡に阻滞しておこる。

⑦便秘、尿黄:
熱が盛んで津を損傷するためにおこる。

⑧耳鳴り:
足少陽胆経は耳中に入っているが、肝熱が胆に伝わり、
胆熱が循経により耳に伝わると、耳鳴りがおこる

⑨舌質紅、舌苔黄、脈弦数:
肝経の実火が盛んな現れである。

【治 療】
治 法:清瀉肝火せいしゃかんか
治療穴:足厥陰経、足少陽経、督脈経穴を主に取る。
手 法:針にて瀉法を施す。灸法は用いない。

以上、肝気鬱結証、肝火上炎証について書かせて頂きました。

北野


参考文献:

『針灸学基礎編』東洋学術出版社
『中医病因病機学』東洋学術出版社
『中医診断学ノート』東洋学術出版社

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