【勉強生募集】
①勉強生 ②受付スタッフ
を若干数募集中です。詳しくはお問い合わせ下さい。


小堀です。
婦人科疾患に用いられる方剤から、
今回は八味地黄丸について書いていきます。

金匱要略の中で、
婦人雜病篇・中風歴節病篇・痰飮欬嗽病篇・
血痺虚勞病篇・消渇小便利淋病篇と多くの記載がある。
それぞれ症状は異なるが、異病同治であり、
温腎補陽・行水利尿として用いられる。

別名:金匱腎気丸・腎気丸・八味丸・八味腎気丸

組成:
熟地黄 24g
山薬・ 山茱萸 各12g
茯苓・牡丹皮・沢瀉 各9g
桂枝・附子 各3g

八味丸 (『腹證奇覧』より)
八味丸 (『腹證奇覧』より)

◉婦人雜病脉證并治第二十二
問うて曰わく、婦人病、飲食もとの如く、
煩熱し臥するを得ずして、かえって倚息するは何ぞや。
師曰く、これを転胞と名づく。溺を得ざる也、
胞系了戻するをもって、ゆえにこの病を致す。
ただ小便利すればすなわち愈ゆ、腎気丸にてこれを主るが宜し。

飲食に問題がなく、煩熱しじっと寝ていられず、
腎陽虚のために気化されず下降できない水液が肺に上逆し、
下焦の寒陰から虚熱が上に浮上することで
肺に虚熱と停滞した水液によって起坐呼吸(倚息)が生じる。

『諸病源候論』
「胞転は是れ胞が屈辟するに由り小便通ぜず。」

転胞の「胞」は膀胱を意味する。
胞系了戻の「胞系」は、
膀胱とそれに関係する諸経絡や器官組織を指す。
了戻とは排尿機能の失調を広く包括している。
腎陽を補い小便利すれば治る。


◉中風歴節病脉證并治第五
崔氏八味丸、脚気上り少腹に入り不仁するを治す。

ここでいう脚気は、腎陽の不足から水液が停滞し、
下注したもの。


◉痰飮欬嗽病脉證并治第十二
それ短気し微飲あるは、まさに小便よりこれを去るべし、
苓桂朮甘湯これを主る。腎気丸またこれを主る。

微飲とは、痰飲が軽微な状態。
水湿が胸中の気を阻滞し、短気(呼吸促拍)を生じさせている状態。
苓桂朮甘湯は健脾利水する。


◉血痺虚勞病脉證并治第六
虚労、腰痛、少腹拘急、小便不利する者は、八味腎気丸これを主る。


◉消渇小便利淋病脉證并治第十三
男子消渇、小便反って多く、飲むこと一斗なるをもって
小便一斗なるは、腎気丸これを主る。


八味丸の病理は精水の不足と同時に陽虚がある。
そのため、拘急と不仁は同時に現れる。
(新腹証奇覧より)

参考:本多先生の記事▶︎八味丸


参考文献:
『金匱要略も読もう』
『中医基本用語辞典』東洋学術出版社
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社
『腹證奇覧』 医道の日本社
『臨床 古今腹証新覧』たにぐち書店

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

小堀

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here