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こんにちは北野です。
今日は前回に続き脾・胃弁証について
書いていきたいと思います。
《9》胃寒症
胃寒の原因は食生活の不節制や生ものや冷たい物の食べ過ぎなどにより
直接脾胃を阻害する病変と、先天不足で胃気が虚弱なために寒が体内で
発生し虚寒病変になるケースがある。
中焦の陽気が不足する為に、陰寒の邪が体内で勢いを増すのである。
【臨床所見】
胃脘部の疼痛、軽いものではジワジワ痛み、
重いものでは拘急し激痛がおこる、
寒冷刺激により増強し、温めると軽減する。
四肢の冷え、食後に疼痛は軽減する、
口から希い唾液が流れる。
舌質淡、舌苔白、脈遅あるいは弦緊。
【症候分析】
①胃脘部の疼痛:
腹部を冷やしたり、なま物を過食したために、
寒邪が胃腑に停滞し、絡脈が収縮して気機が鬱滞した結果おこる。
②寒温の刺激により疼痛が変化する:
冷たい刺激を受けると、寒が盛んになるため、症状は増強する。
逆に温めると、胃寒が緩和するので疼痛は軽減する。
③四肢の冷え:
陽気の温煦を得られないとおこる。
④食後、疼痛は軽減する:
食をとると陽気が奮い立つので、疼痛は軽減する。
⑤口から希い唾液が流れる:
胃寒のため水液を温化できず、口中に希いつばが溢れてくる。
⑥舌質淡、舌苔白、脈遅あるいは弦緊:
寒邪による象
【治療】
治 法:温胃散寒止痛
治療穴:足陽明経、任脈経穴を主に取る。
手 法:針にて瀉法を施す。あるいは針灸併用。
《10》胃熱証
胃に溜まった熱が経に沿って上昇するという病理変化である。
原因としては辛い物や味の濃い物ばかりを食べているために熱を生じたものや、
外感した熱邪が胃腑に伝わったもの、情志に内傷されて肝鬱となり、
それが火に変わり胃を犯したものである。
【臨床所見】
胃脘部の灼熱痛、呑酸、嘈雑、口渇があり冷飲する、
消穀善飢食を取ると吐く、胃痛、口臭、
歯齦腫痛、歯衂、大便秘結、舌質紅、舌苔黄、脈滑数。
【証候分析】
①胃脘部の灼熱痛:
平素から辛い物や油っこい偏食をしていると、化熱化火しやすい。
また情志が安定しないと、気鬱化火になりやすい。
このようにして生じた熱が胃に作用し、胃腑絡脈の気血を阻滞すると灼熱痛がおこる。
②呑酸、嘈雑、嘔吐、食を取ると吐く:
胃熱のために胃の受納機能が失調し、胃気が上逆しておこる。
③口渇があり冷飲する:
胃熱が盛んになり、津液を損傷するためにおこる。
④消穀善飢:
胃熱が盛んなためにおこる。
⑤歯齦腫脹、疼痛、化膿、出血:
胃経は歯齦を絡っている。胃火が循経して上衝すると、これらの症状が現れる。
⑥大便秘結:
胃熱が盛んで津液を損傷し大腸の潤いがなくなっておこる。
⑦舌質紅、舌苔黄、脈滑:裏実熱の象
【治 療】
治 法:清胃瀉火
治療穴:足陽明経、足厥陰経穴を主に取る。
手 法:針にて瀉法を施す。灸法は用いない。
以上、胃寒証、胃熱証について書かせて頂きました。
次回は肝・胆弁証について書いていきたいと思います。
参考文献:
『針灸学基礎編』東洋学術出版社
『中医病因病機学』東洋学術出版社
『中医診断学ノート』東洋学術出版社