この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。
太陽病上篇より
6/15(水)
20条(桂枝加附子湯)
はじめの「発汗」の記述は、
「汗出」(汗がダラダラとまらない症状)
という記述とは異なることから、
汗法によって発汗が促されたものと推察される。
すなわち、太陽病に対し、
なんらかの治療を行ったことで
汗が漏れ出て止まらなくなった状態を現していると思う。
(解説本では桂枝湯証に誤って麻黄湯を与えた場合とあるが、
もっと幅広くとらえても良いのではないか。)
汗が漏れ出ているのは、
誤治などのきっかけによって
桂枝湯証からさらに衛気が弱ることで
起こっているといえる。
漏れ出る汗によって津液が消耗され、
四肢微急(ひきつり)、小便難(小便が出にくい)
という症状が出るものと推測される。
このような場合、
桂枝湯を与えて中風証を治すことはもちろん、
衛気を回復させて汗を止めなければならない。
附子を加え、衛陽を回復させることをねらいに、
回陽救逆の桂枝加附子湯を用いるのだろう。
単に桂枝湯を与えた場合、
その働きによって衛気の回復が
若干は図られると思うが十分ではないため、
表邪も残ったままになるのではないだろうか。
参加者:下野、新川、本多、大原、小堀
<原文>
20条
太陽病、発汗、遂漏不止、其人悪風、小便難、四肢微急、難以屈伸者、桂枝加附子湯主之。