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こんにちは北野です。
今日は脾胃弁証の続きを
書いていきたいと思います。
≪6≫脾胃湿熱証
湿熱の邪が脾胃に滞ったために、
中焦の運化機能が失われ、
気機の昇降異常が起きるという病機変化である。
【臨床所見】
脘腹のつかえ、嘔悪、厭食、身体や四肢がだるい、
下痢、尿黄。面目や肌膚が黄色くなる(色は鮮明)、
皮膚瘙痒。身熱があり、汗が出ても解熱しない。
舌質紅、舌苔黄膩、脈濡数。
【証候分析】
①脘腹のつかえ、嘔悪、厭食:
湿熱の邪が脾胃に蘊結して、受納と運化機能に影響し、
そのため昇降機能が失調しておこる。
②身体や四肢がだるい:
湿の「重着」という特性により、
肌肉を主っている脾が影響を受けておこる。
③下痢、小便短赤:
脾胃に湿熱が蘊結したためにおこる。
④瘙痒、黄疸:
湿熱が脾胃に蘊結し、そのため胆汁が
肌膚に外溢しておこる。
⑤身熱、汗が出ても解熱しない:
熱が湿中にあって、湿熱が鬱蒸するとおこる。
⑥舌質紅、舌苔黄膩、脈濡数:
舌質紅、舌苔黄は熱を反映し、苔膩は湿を反映する。
また濡脈は湿、数脈は熱と関係がある。
これらは内に湿熱がある象である。
【治 療】
治法:脾胃の湿熱を清利する
治療穴:足太陰経、足陽明経、足厥陰経穴
および脾胃の背愈穴を主に取る。
手法:針にて瀉法を施す。灸は用いない。
≪7≫胃陰虚証
胃の津液が不足したために陰が陽を制御できず、
胃腸に潤いがなくなるという病変である。
【臨床所見】
胃陰隠痛、空腹感あるが食べたがらない、
口燥、咽乾、大便乾結、あるいは胃脘部がつかえる、
乾嘔、しゃっくり、舌質紅少津、脈細数。
【証候分析】
①胃部がシクシク痛む、空腹感があるが食べられない:
胃陰不足のため、胃陽が亢進して虚熱が内生し、
熱が胃中に鬱して胃気不和となるためにおこる。
②口燥、咽乾、大便乾結:
胃陰が虚して咽喉部を潤すことができないと、口燥、
咽乾が生じ、津液が不足するため大便が枯燥し乾結する。
③胃脘部がつかえる、乾嘔、しゃっくり:
胃が陰液の滋潤を受けられず、胃気不和
となると胃脘部がつかえがおこる。
また虚熱のため胃気が上逆すると、
乾嘔、しゃっくりがおこる。
④舌質紅少津:
陰虚内熱の象。
【治 療】
治 法:滋補胃陰
治療穴:足陽明経、手陽明経穴を主に取る。
手 法:針にて補法を施す。灸法は用いない。
≪8≫食滞胃脘証
飲食物が胃に停滞したために、それが発展して湿蘊熱が
発生するという病理変化で、食滞とは水穀が転化できない
という病変のことである。
【臨床所見】
胃脘脹悶、あるいは疼痛、曖気、
呑酸あるいは腐敗物を嘔吐する、
嘔吐後に脹痛は軽減する、失気、
泥状便あるいは下痢、舌苔厚膩、脈滑。
【証候分析】
①胃脘部の脹悶感、疼痛:
食滞のために、胃気が鬱滞しておこる。
②曖気、呑酸、嘔吐:
胃失和降となり、胃気が上逆しておこる。
③嘔吐後に脹痛は軽減する:
嘔吐すると食滞が排出されるため、
胃気が通じるようになり脹痛は軽減する。
④失気、泥状便、下痢:
食積気滞となり、食積が消化されないとおこる。
⑤舌苔厚膩:
食滞のため、胃中の濁気が舌に影響して現れる。
⑥脈滑有力:
正気と邪気が抗争し、気血が盛んになっているので、
この脈が現れる。
【治療】
治法:消食導滞
治療穴:足陽明経、手陽明経、および本腑の兪募穴を主に取る。
手法:針にて瀉法を施す。灸法は用いない。
以上脾胃湿熱証、胃陰虚証、食滞胃脘証
について書かせて頂きました。
北野
参考文献:
『針灸学基礎編』東洋学術出版社
『中医病因病機学』東洋学術出版社
『中医診断学ノート』東洋学術出版社