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こんにちは!
今日は肺・大腸弁証について
書いていきたいと思います。
《6》熱邪壅肺証
【臨床所見】
咳嗽、痰は粘稠で黄色い、気喘、息が荒い、
壮熱、口渇、煩躁不安、ひどい場合には鼻翼煽動、
衄血、喀血をともなう。
肺廱になれば、壮熱が激しくなり、胸痛、
膿血や生臭い痰を吐く。便秘、小便短赤、
舌質紅、舌苔黄、脈滑数。
【証候分析】
①咳嗽:
熱邪のために、肺気が上逆しておこる。
②痰は粘稠で黄色い:
肺熱が液に作用すると、痰は粘っこく黄色くなる。
③気喘、息が荒い:
肺の清粛機能が失調しておこる。
④壮熱、口渇、煩躁:
裏熱の盛んな象。
⑤鼻翼煽動:
痰熱が絡んで肺道を滞らせ気道不利となると、
肺気が鬱閉され鼻翼煽動が現れる。
⑥鼻衄、喀血:
熱が肺絡を損傷しておこる。
⑦胸痛:
痰熱が肺絡に阻滞して気滞血壅となり、
絡脈の気血が通暢しなくなるために痛みが生じる。
⑧膿血、生臭い痰が出る:
熱が盛んで肺廱を生じたもの。
⑨便秘:
裏熱が盛んで津液を損傷すると、
腸に潤いがなくなるためにおこる。
⑩小便短赤:
裏熱が津を損傷しておこる。
⑪舌質紅、舌苔黄:
裏熱の現れである。
⑫脈滑数:
裏熱あるいは痰熱の象。
【治療】
治法:清熱止咳平喘
治療穴:手太陰経、手陽明経、督脈経穴を主に取る。
手法:針にて瀉法を施す。灸法は用いない。
《7》大腸湿熱証
【臨床所見】
腹痛、粘液便、裏急後重。
あるいは激しい下痢(黄色い水様便)。
肛門の灼熱感、小便短赤、口渇をともなう。
悪寒発熱、または但熱不寒が見られることがある。
舌質紅、舌苔黄膩、脈滑数。
【証候分析】
①腹痛:
湿熱が大腸に阻滞し、気機に影響するとおこる。
②粘液便、膿血便:
湿熱が腸道に影響して便に粘液、膿がまじる。
また湿熱が脈絡を損傷すると出血する。
③裏急後重:
湿熱が、大腸の伝導機能を失調させるために生じる。
④黄色い水様便を下痢する:
湿熱が大腸を犯して、湿が重ければ水様便となる。
⑤肛門の灼熱感:
熱が腸道に作用しておこる。
⑥小便短赤、黄赤、口渇:裏熱の象
⑦悪寒発熱、但熱不寒:
表邪未解の場合には悪寒発熱がおこり、
邪熱が裏に入ると但熱不寒となる。
⑧舌質紅、舌苔黄膩、脈滑数:
湿熱内蘊(内蘊とは、内にこもること)の象ではある。
【治療】
治法:清利湿熱
治療穴:手陽明経、足陽明経穴、および本腑の募穴、
下合穴を主に取る。
手法:針にて瀉法を施す。灸法は用いない。
《8》大腸津虚証
【臨床所見】
大腸秘結、排便困難、数日に一行、
口乾、口臭、舌質紅少津、舌苔黄燥、脈細濇。
【証候分析】
①大便秘結、排便困難:
久病による陰液の損傷や、熱病または出産時の出血過多により、
津液を損傷し大腸の潤いが不足したために生ずる。
②口乾咽燥、舌質紅少津、舌苔黄燥:
津液不足の象。
③口臭:
大便秘結のため、濁気が下泄せず上逆しておこる。
④脈細濇:
津虚液燥の現れである。
【治療】
治法:潤腸通便
治療穴:大腸の募穴、下合穴、足陽明経穴を主に取る。
手法:針にて補瀉兼施。灸法は用いない。
《9》陽虚滑泄証
【臨床所見】
下痢が止まらなくなる、あるいは大便失禁、
ひどい場合には脱肛をともなう、腹部がシクシク痛む、
喜熱喜按、舌質淡、舌苔白滑、脈沈弱。
【証候分析】
①下痢が止まらなくなる、大便失禁、脱肛:
長期にわたる下痢により、陽気が虚脱し、
大腸の固摂機能が失調したためにおこる。
②腹痛、喜熱喜按:
大腸の陽気が虚したために虚寒内生となり、
この寒が気滞を引き起こしておこる。
温め按ずると冷えが和らぎ楽になる。
③舌質淡、舌苔白滑、脈沈弱:
陽虚陰盛の象。
【治療】
治法:温陽去寒
治療穴:手陽明経、足陽明経、任脈経穴を主に取る。
手法:灸法を用いる。あるいは灸頭針を用いる。
以上熱邪壅肺証、大腸湿熱証、大腸津虚証、
陽虚滑泄証について書かせて頂きました。
次回は脾・胃弁証について書いていきたいと思います。
参考文献:
『針灸学基礎編』東洋学術出版社
『中医病因病機学』東洋学術出版社
『中医診断学ノート』東洋学術出版社