この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。
太陽病上篇より
<原文>
12条
太陽中風、陽浮而陰弱。
陽浮者、熱自発。陰弱者、汗自出。
嗇嗇悪寒、淅淅悪風、翕翕発熱、鼻鳴乾嘔者、桂枝湯主之。
13条
太陽病、頭痛、発熱、汗出、悪風、桂枝湯主之。
14条
太陽病、項背強几几、反汗出悪風者、桂枝加葛根湯主之。
(12条、13条)
鍼灸の治療に活用することをねらいとして、
方剤学に関する書籍などをもとに、
桂枝湯の組成や方意について学ぶ。
・君薬である桂枝は、衛陽の働きを強めることで、風寒邪を発散させる。
申脈穴は陽蹻脈の主治穴であり、衛気を高めることで、桂枝のような働きをすると思う。
・臣薬である芍薬は営陰を補うとされ、営気の損傷を助ける。
三陰交穴によって営陰を補うことができるという記述のある書籍もある。
→方意に即した用い方であれば、どの経穴を用いてもよく、
さらに、湯液よりも鍼灸の方がダイレクトに臓腑を動かせる点を考慮すると、
一つの経穴は一つの薬草(単味)ということではなく、
一つの経穴でもっと幅広い効果をもたらすことができると思う。
(14条)
「反汗出」の「反」とは?
中風証では汗が出るため、どの条文と比較しているのだろうか?
→おそらく31条の葛根湯証に対してのものであろう。
31条の葛根湯証は、症状が無汗であるのに対して、
本条の桂枝加葛根湯は汗が出る。
桂枝加葛根湯証について述べられている本条では
侵襲している外邪が風邪であるのに対し、
31条の葛根湯証は寒邪である。
ちなみに、葛根湯と桂枝加葛根湯の組成をそれぞれ確認すると、
桂枝加葛根湯に、発汗を促す麻黄を加えたものが葛根湯となるようである。
参加者:下野、新川、本多、大原、小堀