【勉強生募集】
①勉強生 ②受付スタッフ
を若干数募集中です。詳しくはお問い合わせ下さい。
下野です。
今回は『薬性の歌』の記事になります。
【原文】
巴戟辛甘、大補虚損、精滑夢遺、強筋固本。
龍骨味甘、夢遺精泄、崩帯腸癰、驚癇風熱。
虎骨味辛、専治脚膝、定痛追風、能壮筋骨。
胡巴温暖、補腎臟虚、膀胱諸疝、脹痛皆除。
鹿茸甘温、益気滋陰、泄精尿血、崩帯堪任。
<第四十に続く>
【解説】
巴戟は辛甘。
虚損を大いに補って、
滑精や夢精を改善させる。
筋を強くして、本を固める。
竜骨は味甘。
夢遺精泄(夢精)や帯崩、
腸癰、驚癇、風熱に用いる。
虎骨は味辛。
専ら脚膝を治す。
祛風して痛みをとり、
筋骨を壮んにする。
胡芦巴は温暖。
腎臓の虚を補い、膀胱の諸疝痛に。
脹痛皆除く。
鹿茸は甘温。
気を益し、滋陰し、
精泄や血尿、帯崩に用いる。
———————————————————————————
◉巴戟天
アカネ科ハゲキテンの根。
性味:辛・甘・微温
帰経:腎
効能:
①補腎壮陽
・腎陽虚のインポテンツや勃起不全、不妊、月経不順に。
方剤例 → 毓麟丸・巴戟丸。
・腎陽虚の頻尿や尿失禁に。
②強筋骨・祛寒湿
・腎虚の風寒湿痺による腰膝の痛みや無力、筋の萎縮に。
方剤例 → 金剛丸。
③養肺益陰・止咳
・肺虚の慢性咳嗽や呼吸困難に。
◉竜骨
古代の大型哺乳動物の化石とされ、
主にゾウ類、サイ類、ウマ類、シカ・ウシ類など。
性味:甘・渋・平
帰経:心・肝・腎
効能:
①鎮心安神
・心神不寧の動悸や健忘、多夢などに。
方剤例 → 桂枝加竜骨牡蠣湯・枕中丹・安神定志丸。
②平肝潜陽
・肝陰虚陽亢のふらつき、めまいなどに。
方剤例 → 鎮肝熄風湯。
③収斂固脱
・陽虚の自汗に。
方剤例 → 二加竜牡湯。
・陰虚の寝汗に。
・腎虚の遺精に。
方剤例 → 竜骨湯・金鎖固精丸。
・脾虚の慢性下痢に。
方剤例 → 竜骨散。
・性器出血や月経過多、帯下に。
方剤例 → 清帯湯。
④生肌斂瘡
皮膚の潰瘍や外傷出血に。
◉虎骨
ネコ科トラの骨格。
性味:辛・甘・温
帰経:肝・腎
効能:
①祛風止痛
・風寒湿痺による関節の遊走性疼痛、引きつり、冷えなどに。
方剤例 → 虎骨木瓜酒。
②強筋健骨
・肝腎不足の筋骨軟弱や腰膝の無力、怠さに。
方剤例 → 虎潜丸。
④安神定驚
・心神不寧の驚きやすい、動悸、健忘に。
方剤例 → 予知散。
◉胡芦巴
マメ科コロハの成熟した種子。
性味:苦・大温
帰経:肝・腎
効能:
①温腎陽・逐寒湿・止痛
・腎陽虚の腰痛、インポテンツ、滑精に。
・虚寒の疝痛で、下腹部から陰部の冷痛、陰嚢収縮などに。
方剤例 → 胡芦巴丸。
・寒湿脚気の冷痛、むくみ、引きつりに。
◉鹿茸
シカ科マンシュウジカ、マンシュウアカジカの雄の角で、
まだ角化していない幼角。
性味:甘・鹹・温
帰経:肝・腎
効能:
①補真陽・益精血・強筋骨
・真陽不足、腎陽虚の腰膝が無力、寒がる、冷え、
インポテンツ、早漏、頻尿、不妊などに。
方剤例 → 参茸固本丸。
・精血不足の腰の怠さ、四肢の無力感、ふらつき、耳鳴り、
発育不良、泉門の閉鎖遅延、運動能力の遅延などに。
方剤例 → 加味地黄丸。
②調衝任・固帯脈
・陽虚の衝任虚寒・帯脈不固の不正性器出血、白色帯下に。
方剤例 → 鹿茸散。
③温補内托
・陰疽の慢性潰瘍に。
<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『中医病因病機学』 東洋学術出版社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
下野