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珈琲館
珈琲館にて

こんにちは、大原です。
コーヒーの写真ばかり載せていますが、
コーヒーばかり
飲んでるという訳ではありません!

では、前回(上工と下工 その2)の続きです。

霊枢のはじめの方に
上工と下工という言葉が出てきました。
技術のある医家を上工とし、
そうでない医家を下工と表現していましたね。

さて、上工、下工という記述が
素問の八正神明論篇(第26)にも出てきますので
みていきましょう。
上工、下工の記述が出てくるまで少し長いですが、
関係ありそうな内容ですので
はじめから載せていきます。

(ちなみに、原文の正確な訳文については、
書籍などを参考にしてください。
ここでは、上工について関係ありそうな内容を
自分の解釈も入れて記しています。)

黄帝問曰、用鍼之服、必有法則焉、今何法何則。
岐伯対曰、法天則地、合以天光。帝曰、願卒聞之。
(鍼を用いる際は、天地の法則に則るべきである。)

岐伯曰、凡刺之法、必候日月星辰、四時八正之氣、氣定乃刺之。
是故天温日明、則人血淖液、而衞氣浮。故血易寫、氣易行。
天寒日陰、則人血凝泣、而衞氣沈。

月始生、則血氣始精、衞氣始行。
月郭滿、則血氣実、肌肉堅。
月郭空、則肌肉減、経絡虚、衞氣去。形独居。
是以因天時而調血氣也。
是以天寒無刺。天温無疑。
月生無寫。月満無補。月郭空無治。是謂得時而調之。
因天之序盛虚之時、移光定位、正立而待之。故曰、月生而寫、是謂蔵虚。
月満而補、血氣揚溢.絡有留血.命曰重實.
月郭空而治.是謂亂經.
陰陽相錯.眞邪不別.沈以留止.外虚内亂.淫邪乃起.
(鍼は、日月・星辰(星の運行)・四時(季節)・八正の気をうかがうことが必要である。
天の寒暖や月齢が、人体の気・血・精・肌肉・経絡に大きく関わるためである。)

帝曰、星辰八正何候。
岐伯曰、星辰者、所以制日月之行也。
八正者、所以候八風之虚邪以時至者也。
四時者、所以分春秋冬夏之氣所在、以時調之也、八正之虚邪而避之勿犯也。
以身之虚而逢天之虚、両虚相感、其氣至骨。入則傷五藏。工候救之、弗能傷也。
故曰天忌不可不知也。
帝曰善。
(星辰とは日・月の運行を、八正とは異常な八風・気候を知ることをいいます。
これら
星の運行や気候も、人体に大きく影響するのです。)

さて、この辺りから「工」についての記述がみられます。
ご存知、「工」とは医家のことですね。

其法星辰者、余聞之矣、願聞法往古者。
岐伯曰、法往古者、先知鍼経也。
験於来今者、先知日之寒温、月之虚盛、以候氣之浮沈、而調之於身、観其立有驗也。

観其冥冥者、言形氣栄衛之不形於外、而独知之。
(工とは、外からみて分からないような人体の形気栄衛の変化や状態を、独り知るものです。)

以日之寒温、月之虚盛、四時氣之浮沈、參伍相合而調之。
常先見之、然而不形於外、故曰観於冥冥焉。
通於無窮者、可以傳於後世也。是故之所以異也。然而不形見於外。故倶不能見也。
視之無形、嘗之無味、故謂冥冥若神髣髴。
(工は、月の満ち欠けや季節をふまえ、常に形にならないような、先々の変化を見ます。
これが、工と、一般の人との違いなのです。)

一言でいうと、
「工」は一般の人とは違い、
観察力や分析力などに長けた人物(医家)
であるということでしょう。

ここでの「工」は「上工」と同義だと思います。
続きをみていきましょう。

虚邪者、八正之虚邪氣也。
正邪者、身形若用力、汗出腠理開、逢虚風。
其中人也微、故莫知其情、莫見其形。
(虚風にあたった場合の身体の変化は微妙なもので、
その症状を知ることができなければ、邪気の形が見えません(分かりません)。)


上工救其萌牙、必先見三部九候之氣。盡調不敗而救之。故曰上工。
(上工はその萌牙を救い、必ず三部九候の気を見て、
邪気から敗れきってないうちに(症状が出ないうちに)これを調えて救います。)


下工救其已成、救其已敗、救其已成者、言不知三部九候之相失、因病而敗之也。
(下工は、邪気にすでに敗れてしまい、形にあらわれたもの(症状)を救います。
三部九候の相失(相失:協働、お互いに協調して働く)を知らないためです。)


知其所在者、知診三部九候之病脉処而治之。
故曰守其門戸焉。
莫知其情、而見邪形也。
(その(邪気の)所在を知るとは、三部九候の病脈を知るということです。
ゆえにその門戸を守るといいます。
症状を知ることなくして、邪の形を見るのです。)

最後の莫知其、而見邪形也。の中の「」は、
この記事の前段にも出てきています。
その意味するところは、
おそらく身体が邪気に侵されて、その結果外にあらわれたもの、
すなわち「症状」と訳するのが適当かと思います。

さて、原文は、このあと
補瀉などの刺鍼についての話題に移っていきます。
その後、上工に関連する内容も少し出てくるようです。

続きます。


参考文献:
『黄帝内経 素問 上巻』 東洋学術出版社

*画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。

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